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だから愛していますご主人様―エクストラメイドデイズ!!――vol.3

こんばんは、あるてぃめっと☆るいるいです

久しぶりの更新となります
本当は24日中にあげるつもりだったんですが遅れてしまってもうしわけない・・・っ

とりあえず間が開いてしまうと仕方ないので、明日か明後日にこれの続き投下します
それでゆるしてください・・・!

またコミケの件ですが、知り合いのサークル様に既刊を委託することが決定しました
既刊です、新刊じゃないです
おそらく委託するのは「ひなごろも」一作になります
なので、夏コミで手にいれられなかった! という人はぜひともここで入手してくださいませ
ご一考いただける方は、明日辺り、サークルスペースや詳細などを別の記事をつくって書きますので、そちらで見てください

小部数ですが、なにか限定ペーパー等つけれたらいいなと思ってます
よろしくお願いします


また、今回のだかぬしは“少女「貴方のための娼館へようこそ。存分にお楽しみくださいませ」”のネタバレが大量に含まれます
もし未読の方で、“少女「貴方のための娼館へようこそ。存分にお楽しみくださいませ」”を読むご予定のある方は、先にそちらに目を通す事を強くオススメします。


それでは連絡が長くなってしまってすいません
どうぞ、だかぬし新作です









だから愛していますご主人様―エクストラメイドデイズ!!――vol.3


来訪者


 あれは夢だったろうか。
男「んー……」
 何か忘れているような。
 隣に座る彼女が言う。何故そんな顔をしているのかと。
男「いや、えーと」
 聞きたいのは俺だ、と思った。
 それはとてもあやふやで、つかみどころのないものだった。
男「夢、かな」
 そう言うと、彼女は納得して窓の外を見やった。
 雨が降っていた。
 さっきまではしとしとと振っていたのに、先ほどからやけに強くなっている気がする。
 こんな日はとても――よからぬことが起こるような。



 黒について、屋敷を進む。
男「森のどの辺りで見つけたんだ」
黒「正確な位置は把握してない。発見したのは院長の幽霊だ」
男「なるほど、院長から報告を受けて、俺に来たのか」
黒「そうなる」
男「そうか。……ん?」
黒「どうした」
男「いや……。いや、なんでもない。他には伝えてあるのか」
黒「まだだ」
男「分かった。まずは状況確認をしてから考えよう」
 俺は部屋へと入る。
男「わっ」
 出迎えたのは、院長の幽霊だった。
 なぜかさかさまで。
幽「客が寝ておるから静かにせい」
男「お、お前わざとびっくりさせようとしてるだろ」
幽「なんのことやら」
 いつもの事なので、俺は問答もそこまでにしておいた。
男「ふむ」
 部屋はこの屋敷の空き部屋の一つで、俺の部屋などよりも大きめにつくられている。
 こういった部屋は、この屋敷には多い。
 というのも本来この屋敷は孤児院ということで、部屋は共同で使うために用意されていたからだ。
 置かれたベッドの数は今でこそゆったりと四つだが、入居当時はここに十六ものベッドがぎゅうぎゅうに詰め込まれていた。
男「この子たちか」
 さっと見回せば、一つのベッドに一人、すやすやとは言い難い表情のまま眠る少女達が横たわっていた。
男「ん」
 ベッドに横たわるのは四人。
 しかし報告にあったのは五人だ。
 おかしいな、と思ってベッド以外に目をやると、ソファにも少女が一人、座っていた。
 目が合うと、少女は会釈をした。
幽「寝かす前に目が覚めてな」
男「そうか」
幽「ではお前がきたのだ、私はとりあえず下がっていよう」
男「ん、いてもいいぞ」
幽「なに、込み入った話をするのに死者は不要じゃて。ではの」


 院長幽霊が部屋から去って、俺はソファの少女を見る。
 少女はとても暗く表情のない顔をしていた。
男「君、名前は」
三「……三」
 少女の肩についた、痛々しい焼印が目に入る。
 黒が数字の焼印があるといっていたのを思い出した。
男「それは名前じゃないだろう」
 少女は申し訳なさそうに顔をふせる。
三「これしか、……名前と呼べるものがないの」
 一瞬、喉が締め付けられた。
男「すまない」
 人間に押される焼印の意味。しかもそれが数字となれば。
 この子たちは、つまり。
三「い、いや、別に……。……貴方は?」
黒「この家の主だ」
男「よろしく」
三「主……?」
 彼女はふと何かに気づいたように、眉をひそめた。
三「……メイドがいて、館で……。……、……っ」
男「どうした」
 三の瞳が一瞬、ぶれた。
 眩暈を起こしたのか、額に手をあてて、首を振る。
男「お、おい、大丈夫か? 黒、水か何か――もう用意してたか」
 さすがは黒。彼女はいつのまにか片手にコップを持っていた。
 しかし顔をあげた三は、それを手渡そうとした黒など見向きもせずに俺の目をじっと見つめ返した。
三「……」
 それにはどこかとても、強い思いがこめられているように見えた。


三「ここはどこ」
男「どこ? ああ、えーと――」
 住所を言おうとして、さえぎられた。
三「そうじゃない。……私たちをどうする場所なの、ここは」
男「どうする……? ああ」
 その警戒する目。どこかで見たことのある、それ。
男「どうもしない」
 初めて会った時、この家のメイド達はこんな目をしていた。
三「下手な嘘はやめて。もう分かってるから」
男「何を」
三「良き運命を約束されるための対価を、私たちはまだ支払っていない」
男「どういう意味だ」
三「それは貴方達がよく知ってると思うけど」
男「……」
 しばしその意味を考える。
 彼女がふざけて言っているようには当然見えない。
 では良き運命を約束されるための対価とは何か。
男(彼女達が数字の焼印を受ける者であることからして――)
 奴隷のような扱いを受けていたことは明白。
 それはおそらく、良くない運命。
 では良き運命とは。
 それを脱する対価とは。
男「……金か?」
 奴隷から脱却するために必要なもの。
 金以外に何があろうか。
三「金? ああそうね、金でも解決したかもしれない」
男「そうか。必要な金があるなら俺が出そう」
三「……何を勘違いしているの? だから、そうやって運命を変えてもらうために、私たちが支払うものを、払ってないでしょ」
男「……、……。……ああ」
 運命を変えるために、金が必要である。金を稼ぐためには、対価が必要である。
 つまり運命を変えるためには、相応の対価が必要である。
 そういうことか
男「不要だ。俺は対価を貰うつもりはない」
三「……? だ、だって。運命を変えるためには対価が必要だって最初に契約したじゃない」
男「契約……?」
 なにか、話がかみ合っていないような。
 三もどこかおかしいと気づいたのか、腑に落ちないといいたげな顔になった。


 ベッドからうめく声が聞こえた。
三「おきたかな」
 三は俺を警戒するように見つつ、奥のベッドへ駆け寄る。
三「おはよう、二」
二「……三、か。おはよう」
三「うん。四もおきたかな」
四「ここは……」
三「館。おそらく……」
四「……そう」
 三人は目を合わせてから、俺を見た。
三「あの男が、主だって」
二「……なるほど。そういうことですか」
 納得したように頷く。
四「ここ別館かな」
三「かもしれない」
四「そう。とりあえず一と五を起こしたほうがいい」
三「そうね」


 白いドレスを来た五人が、並ぶ。
 全員が全員、数字で呼ばれることを希望した。
五「……終わって、ないのですね」
一「そう、みたいだね」
 五人とも、一様に疲れたような目をしていた。
二「説明を求めます。システムはどうなっていますか」
男「システム?」
二「はい。どのようにすればいいのかを知らなくては何も出来ません」
男「俺は何も君たちにさせる気はないが……」
二「しかし既に契約をしてます」
男「それはさっきも三から聞いた。しかし俺には全く心当たりがない」
二「ごまかすつもりでしょうか」
男「違う。俺が説明を求めたい」
 二は見定めるかのように俺を見た。
二「……」
四「……二。本当に知らないように見える」
二「そうですね。疑って、すいません」
男「いや、状況が分からないのはそっちも一緒のようだ」
 困っているのは、向こうも同じ。
一「で、でも、それならどういうことだろう……」
五「つながりがないのか、それとも情報が統一されていないか……」
 悩むように首をかしげる。


男「君達は、何者なんだ」
三「こっちが聞きたいわよ」
二「まあ落ち着きましょう、三。少なくとも既にお世話にはなっている」
四「うん。まずは話をかみ合わせるために、相互の説明が必要」
三「ふんだ」
 三は腕を組んで、そっぽを向いた。
一「で、では、私たちの説明を……」
 一はちらりと、確認するように他の子を見やった。
一「私たちは自身の運命を変えるために、契約をしました」
一「報酬は、『残酷ではない運命』の約束。対価は――娼館で身を売り、働く事」
黒「……っ」
 後ろに立っていた黒がぴくりと反応したのが、分かった。
一「館にいたのは、主とメイド。だから、その……、私たちは、そうなのかなと思いました」
男「なるほどな」
 娼館という点に、俺はあまり驚きはしなかった。なぜなら肩の焼印からして、それはある程度予想できたからだ。
 気になったのは――
男「『残酷ではない運命』の約束とは、なんだ。あまりに非現実じゃないか」
三「知らないわよ。それで良いって娼館の主――違う、あれは確かメイドだったかな……、とにかくそうやって持ちかけられたんだから」
男「ふむ……。しかし娼館で働く事それ自体、残酷だろう」
五「そうですが……、ですがそれは、現実の世界の話ではない」
男「現実の世界ではない?」
二「現実の『残酷な運命』から一度はずれ、対価を支払い次第『残酷ではない運命』へと戻される。それらをつなぐ世界」
男「……、……なるほど」
 それはとても、非現実的な話。
 しかしその仕組みを、俺は知っているような。
四「その辺りの詳しい仕組みは私たちに説明されていない。だから問題は、私たちがすべき事」
男「雇い主がどういう手段を使うのか、対価と報酬がどう繋がるのかは、問題ではないと」
四「そう」
 そう。その部分はきっと、教えて分かるものではなく。
男「なるほど、な」


五「ですが私たちは、運がいいのか悪いのか、“その娼館では”身を売る事はなかった」
男「ふむ?」
五「システムは少し複雑でした。本来娼館で体を売ることが対価ですが、しかしそれは別館で行われる」
五「現実の世界から娼館へ送られた際、まず配置されるのは本館」
五「本館にはとても来客がすくない。しかし別館に配置されるまでの短い期間に来館者があり、なおかつそれを満足させられた場合」
五「それだけで対価を支払った事になる。別館への移動を逃れる事ができる」
男「……何故そんなシステムに」
三「だから知らないってば。向こうが何考えてるのかは、私たち知らないの。だからあんたにもどうすりゃいいんだって聞いてるんでしょうが」
一「さ、三ちゃん、あんまり乱暴な言い方は……」
三「どうせ悪魔の契約だってのは分かってんの。どうせこいつも同じよ。悪魔相手に礼儀正しくしてどうするのよ」
一「あう……」
 一は困ったように俺をみて、ごめんなさいと言った。
男「気持ちはなんとなく察している。気にしなくていい」
男「……それで、君たちは本館で条件を満たしたのか?」
四「満たしていない」
男「ふむ? しかし別館へ行ったら身を売る事になるんだろ」
四「違う。満足させるというのはつまり、性的な満足を与えるという事。この時点で身を売っていることになる」
四「しかし最終的に、そうはならなかった」
男「何故」
三「来館者が、そういう男だったからよ」
男「ふむ……」
一「来館者は結果的に、満足する前に帰ってしまわれました。ですから私たちはほぼ、別館行きが確定していた」
一「それなのに……、それすらもそうはならなかった」
二「別館へは行かず、ここへと送られました」
男「……なるほど、そう繋がるのか」


三「もう一度聞くわ。ここは、どこなの」
 今度は、質問の意図がすこしは分かる。
 しかし。
男「ここは何の変哲もない。でかいだけの、普通の家だよ」
三「……本当に?」
男「本当だ」
黒「……」
 黒は何かいいたそうに口を開けかけたが、寸ででやめた。
 特にいま口を挟むことではないと思ったのだろう。
三「じゃあ貴方はだれ」
男「普通の男だよ。……そうだな、強いて言うなら金は持ってる」
三「金持ちか。私金持ちは嫌いなんだけど」
男「そりゃまいったな」
三「私たちはね――」
 ぐう。
 何か音が鳴って、三は停止した。
三「…………」
 そしてぎろりと、睨まれた。
男「……腹、空いてるのか」
三「空いてないけど」
男「何か用意するか」
三「す、空いてないって言ってるでしょーが!」
男「おい黒、そういえば夕飯の時間だったな。えーと」
黒「五人分の追加であれば、すぐに手配しましょう」
男「たのむ」
黒「では」
 黒は音も立てずに部屋から出て行った。
一「え、えっと……」
男「勝手に用意させてしまったが、いいか?」
一「私は、とても嬉しいですが……」
四「同じく」
二「そうですね、お腹は空いたかもしれません」
五「と、突然にも関わらず、申し訳ありませんわ……」
男「気にしなくていい。食事は大勢の方がいいだろ」
五「では、お言葉に甘えまして」
 四人が同意すると、三は困ったように周りを見た。
二「三はお腹が空いていないとの事なので、申し訳ありませんが欠席ということで」
三「え、えっ!?」
二「どうしました、三。お腹が空いていないのなら無理に来なくとも」
三「い、いや、そりゃ当然空いてなんかいないけど……!」
 三の気持ちは、とても良くわかる気がした。
男「無理にとは言わないが……。せっかくだ、出来れば全員で食事に付き合ってはくれないだろうか」
三「……ああもう! 分かったわよ、行くから! もういいでしょっ!」
男「ありがとう」
 三はうなって、やはり目を背けたのだった。


 食堂にはいると、メイド長に紫、青、茶の四人が既にいた。
青「ご主人様」
紫「ご主人様だー!」
男「よう」
茶「あれ。そちらは?」
男「えっとだな」
女「はー、見ないと思ったらまた女の子つれてきてやんの。何、私たちだけじゃ足りないって?」
男「いやそういうのじゃない。えーと、どうも遭難してしまったようでな」
 説明すると長くなりそうだったので、端折って伝えた。
女「あのね、こんな田舎の山の中なんて見るものないし、そもそもこんな綺麗なドレスで山のぼりしないから」
男「む……」
 確かにこいつの言うとおりである。
女「……ま、説明面倒くさい感じの話っぽいね。気にしないどいてあげる」
男「悪いな」
 しかしそもそもおおっぴらに話していいものか、という意味でも悩んだ。
 話はとても、デリケート。
女「あとで酒飲ませて私が直接聞くから」
男「おい」


 来客五人を含め、総勢十七人、幽霊いれて十八人。
 いつもは大きすぎて使い切れないこの食堂も、ここまで増えれば大きすぎるとは感じない。
 とはいえそれでもまだまだ許容できるスペースを残しているあたり、やはり普段の食事はもう少し小さい場所でとってもいいんじゃないかとは思う。
 全員が一同に、着席した。
男「あー、今日はお客さんがいる。詳しい事情はめんどいので後回し。まあとりあえず仲良くやってくれ」
全「「はーい!」」
男「料理班もすまなかったな、突然で」
緑「問題ない」
金「めったにないお客様ですもの、むしろ腕の振るい甲斐がありましたわ!」
男「そりゃよかった。今日は桃がつくったタルトもあるし、歓迎には丁度いい」
桃「わわわっ、責任重大! 初めて作ったのでお客様のお口に合うかどうか……っ。あ、噛まなかった」
五「ふふ、とても楽しみにしております」
 桃が「もう一回味を確認してくくくるっ! かんだ!」といって席を立とうとしたので、あわてて引き止めた。
男「そうだ、適当に自己紹介しておくか?」
一「と、特に紹介する事も……」
二「ああ、とりあえずこの焼印の番号で呼んでいただければ」
女「うわ、なにそれ痛そう」
二「いえこれはシールみたいなものなので、痛くもかゆくもなかったりします」
女「あ、そうなんだ」
四「そう。大丈夫」
銀「あ、私質問があります! ご主人様とはどんなご関係でしょうか!」
三「悪魔と奴隷よ」
 あやうく口に含んでいた水を噴出しそうになった。
銀「なななんですとー!!!! それはあれですか、すで食われちまってるぜってことですか!」
赤「ご、ご主人様、何を……?」
男「ちょっとまてこれには誤解がある、俺にやましいことは何もない」
銀「なんですかそれ、これは誤解なんだ! なんて典型的な言い訳パターンじゃないですか!」
緑「普通何もないのに悪魔と奴隷、なんて言わない」
三「そうだよねー!」
男「い、いやお前意味が全然違うだろう……っ」
金「ちょっとまってください奴隷のようにという意味ならばむしろわたくしをご主人様の――えーと……」
銀「性奴隷か」
茶「わあ、金ちゃんだいたんー!」
幽「そうなったら私の出番だな」
銀「わっ、本格的にご主人様が召される……!」
金「せ、性奴隷と言うと下品ですわ! そのなんというか、ただ好きなように使うといいますか……」」
褐「なあ、せいどれいってなに?」
紫「なんだろう?」
二「ああ。それはですね」
赤「わー! 褐ちゃんも紫ちゃんもしらなくていいです!」
男「おい変な方向に話を持っていくな。……それよりもう食事は並んでるんだ、早く食べないと冷めちまうぞ」
褐「そうだった! 一大事ですよそれ!」
桃「一大事!」
幽「くく、ほら皆、姿勢を正せ」
男「ったく。……こほん。では」
 いただきますと食事開始の一言を言って、賑やかすぎる夕食がはじまったのだった。


 食事はもちろん、デザートに桃が作った白桃のタルトも、とても好評だった。
 俺はとりあえず五人を連れて、元の部屋へともどってきた。
男「ありがとうな」
五「はい?」
 食事前の会話で見せていた彼女達の真剣な顔を思い出せば、食事中あれだけ賑やかな空気に付き合ってくれていた事には感謝しなければいけないとおもった。
男「気を遣わせてしまってしまっただろ」
五「ああいえ、そんなことは」
四「楽しかった」
二「ですね」
男「そうか、なら良かった」
 一つ気になることがあった。
男「少しきになったんだが」
二「どうぞ」
男「いやなら答えなくて良い。……肩のそれ、シールじゃないよな」
二「はい。さすがにシールではありません」
男「だよな」
二「でも実際に痛いわけではないのです。これは本館にいるときの番号で、変化するものですから」
男「変化?」
五「私が五なのは、私たちの中で私が一番古いから。つまり、新しい子が入れば順にこの番号は上がっていくのです」
男「ああ、なるほど。そういう仕組みなのか」
二「それより私からも一つ質問が」
男「ん?」
二「あの場にいたのは――十七人ですよね?」
男「……、……なるほど」
 俺はいつかの記憶を思い出した。
 気高き彼女は、なんと言っていたかな。
男「十八人だ。一人、幽霊がいる」
三「えちょっとやめてよそういうの」
男「嘘じゃない。しかしこの家の人間以外には見えないらしくてな」
一「そ、そうでしたか……。確かに少し会話に妙なところがあったなとは思っていました」
三「いや嘘でしょ?」
男「本当なんだが……、まあ見えないならしょうがない」
三「……」
四「三は怖がり」
三「ち、違うわよ!」


男「ああそうだ。とりあえずあとでここにベッドを一つ持ってくる」
三「ん、どうして?」
男「さっきの話を聞いた限り、どうしてここにいるのか分からないんだろ。なら行く当てもないと思ってな」
男「おせっかいでなければ、この部屋を使ってくれ」
一「い、いえ、そこまでしていただかなくても……、どこか宿をさがせば」
男「金はあるのか」
一「あう……」
五「ごめんなさい、食事に寝床までいただいて……」
男「気にするな。困ったらお互い様とよく言うだろう」
四「ありがとう」
男「おう」
三「ふんだ良い人ぶっちゃって。どうせ後で宿賃とるつもりよ。体とかで」
男「取らないって。対価はいらないよ」
三「あんだけ若い女の子はべらせてメイドやらせてるくせによく言うわ! 金持ちは女好きと相場がきまってるけど、あれほどとはね!」
男「うーむ……」
 半分反論はできない。不可抗力とはいえあれだけメイドがいれば、そう思われるのも不思議ではない。
男「まあ、仕方ないか」
黒「ではベッドの用意をしておく」
男「まかせた。一人だと大変そうだし、手伝ってもらった方が良い」
黒「そうだな。銀、赤、頼む」
赤「わっ」
銀「ばれてた」
 扉の向こうから、ひょっこり二人が顔を出す。
男「いたのか」
赤「すいません……。盗み聞きするつもりではなかったんですが……」
銀「みんなで飲み会やろうってうちのメイド長が言い出したもんで誘いにきました!」
男「そういうことだったか。皆大丈夫か?」
五「ぜひ参加させていただきますわ」
男「そうか、ならそうだな……。赤、案内してやってくれ。銀は黒の手伝い」
銀「わーん、なんで私だけー!」
男「あとでなんかお礼考えとくから」
銀「じゃあまぐわいましょう!」
男「それ以外な。じゃあ頼んだ」
黒「行くぞ銀」
銀「うーっ」


 俺は飲み会の参加は断って、自室に戻る。
 そういった場は苦手であったから、というのが大きな理由だ。
 女の子同士の方が楽しめるだろう。
男「院長幽霊、いるか」
幽「なんじゃい」
男「ちょっと付き合え」
 俺はベッドへと腰掛ける。幽霊はいつもどおりふわふわと。
男「なにかを飲むか?」
幽「そうだな、ダージリンがいい」
男「ごめんなさい」
幽「お前のジョークは大体つまらん」
 苦笑する。
幽「しかし主のくせに付き合い悪くていいのか。皆と飲んでくればよかったろうに」
男「疲れてしまってな」
幽「体力ないのう」
男「元からだよ」
幽「それもそうか。……で、話でもあったか?」
男「ああ、うむ」
 少し、考える。問いただすべきかどうか。


男「お前嘘を、ついてるよな」
幽「さて」
男「……ふむ。今日、彼女達を見つけたのは、お前だったな」
幽「うむ」
男「何故、黒の体を使った」
幽「見つけた場所が少し分かり難くての、言葉で説明するより私が行った方が早いと思っただけのこと」
男「なるほど」
 それですら、黒は幽霊が見えるのだから、ただ先導すればいいだけの話。
 しかし俺はあえてそれを流した。
男「なら、その見つかった場所はどこだ?」
幽「裏手の森だが」
男「今日、雨が降っていたと思うんだが」
幽「……」
男「何故彼女達は、あの服のままなんだろうな」
 報告を思い返す。
男「黒はこう言った「白のドレスをまとった少女が五人。裏手の森にて発見された」と」
男「しかし今日は雨が降っていた。もしそうならば、彼女達の服はどうだったか」
幽「ふむ」
男「――濡れてないと、おかしいよな」
男「もし濡れていたならば、気の利く黒の事だ、すぐに着替えさせるはず。なのに、ドレスのままだった」
幽「……そうじゃの」
男「つまり、彼女達が発見されたのは山の中ではなく、どこか雨のしのげる場所となる」
幽「傘を持っていたかも知れんぞ」
男「傘があっても、山の中で雨が降ればあのドレスだ。裾が確実に泥で汚れるだろう」
幽「まあ、そうか」
男「で、だ。このあたりで雨のしのげる、言い換えるなら屋根のある場所は、一つしかない」
男「つまり」


男「彼女達は最初から、この屋敷の中にいた」




 雨は止んでいなかった。
男「土砂崩れ……か」
 とてもこれ以上車をすすめられそうにない。
 やっぱり、いやな予感はあたってしまった。
男「どうするかな」
 山の中はもう真っ暗だ。
 それにこの雨ではまた土砂崩れが起こるかもしれない。
 戻るのも困難思えた。
 山道の途中にはところどころ進めそうな小道もあったが、あまりこの当たりの地理にはくわしくない。
 それで迷ったら元も子もないと考えると、動くに動けなかった。
男「雨が止むのをまつか……」
 しかし止んだところで、この土砂崩れの中すぐに戻れるわけではない。
男「まいったな」
 同行する女性とともに困り果てていた。
 が、彼女がぽんぽんと俺の肩を叩いた。
男「灯り……?」
 こんな山の中に光があることに驚いたが、よく眼を凝らすとたしかにある。
 さっきまではなかったような。見落としたのだろうか。
 人か? ……いや、建物のようだ。
男「行ってみるか」
 傘をさして、俺達は車から降りた。
 整備された道はもちろん無い。
 だから偶然見つけた獣道を俺達は進んだ。
 不幸中の幸いか、獣道は荒れているわけでもなく、跳ねる泥を気にしなければ雨の中でも歩きやすかった。
 何度か転びそうになりつつ、その道をぬけると――

男「これは……」
 
 ――それはとても古びた、洋館だった。
男「……」
 何かを、忘れている気がする。
 年季の入った外見だが、とても立派な建物だった。
 どうやらそこは玄関口ではないようなので、回り込む。
男「……」
 すぐに大きな玄関扉の前に出た。
 堅牢なつくりは、山の中で半分遭難している俺達からすればとても心強いものであったが、玄関から光は漏れていない。
 灯りがついているのはどうやら、そのさらに裏手のようだ。
男「やか……、た……」
 記憶の中に何かが薄くかすむ。
 それは、なんだったか。
 どこで見たのか。
 いつ見たのか。
 どんなもの、だったのか。
男「……」


男「娼婦の、館……?」


 娼館。
 その言葉が、強く胸に響いた。



To be concluded...










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No title

楽しかったです!みんなかわいいですね
続きが気になります・・・

No title

お初です!
だから愛して以下略を発見してから合間合間に少しずつ読み進めてようやくここまで追いつきましたー
娼館のほうも気になって一気読みしちゃいました!
ちょっと怖かったけど面白かったですっ
2つの話が交差するみたいですねーwktkです
続き楽しみに待ってます

No title

おー、これは、るいるいさんからのクリスマスぷれぜんとですね。
続き楽しみにしてます。。。

No title

是非ともだかぬし委託販売再開してほしいですなー
今回のも追加した完全版でも可

No title

 ルイさんの伏線に気付けたことのない人が通りますよーっと。
何かありそうなんですけど、何なのかがわかりません(´・ω・‘)

 でも伏線がわからなくても十分楽しめますね!さすがルイさんクオリティ!

うおお!これはこれは『クリスマスだし更新されてたりして~』なんて冗談半分で見に来たらホントに更新されているとは…クリスマス深夜にありがたいプレゼントですな!今回も面白かったですよ続きが気になる次第であります。ぐぅ…金ちゃんとの……いちゃいちゃ成分が…足り な …

No title

これ読んでたら、初めて読んだ娼館を思い出しました。
初めてのSSに心打たれたのを今でも覚えています。
だかぬしも大好きなのでがんばって下さい。

No title

とても面白かったです!
続きを期待しています!

No title

展開が分からなくなった者が通りますよ


だかぬしの男(以下主)はいずれ本当の世界に帰らねばならない
これはこの次元にはいずれ終わりが有ることを示している
しかし女の子達(娼婦)は主とメイドのいるこの館にいたらしい
ということは主の一存ではこの次元は終わらない、いや、終われない
さらに何故か娼婦の次元でドライブしていた男と女(娼婦)がだかぬしの次元に関わってきそう
ってことはここは様々な次元が交わる共通した次元、いわば同一次元ということなのか
はたまた、まだ男(だかぬし)が行ったことのない部屋や階層=別次元との接点って事になってるのか
だとしたら何故外からの訪問が可能なのか?
それに娼婦スレでルイさんが言ってた
「書ききれませんでしたが、そもそもこの世界はまたどこか別の世界のお話です
その世界の金持ちの男達であったり、妖怪であったり、そういう感じだと捉えてくださいませ 」
というくだりから深読みするに、書ききれなかった=何かと接点を持たせたかった
即ち、娼婦の館もだかぬしの世界と何かしら接点があると捉えられる?

全然わからない(´・ω・`)
長文&駄文失礼しました

No title

お久しぶりです。クリスマスに新作投下とはなんと粋なはからい・・・。ありがとうございます。これでまだ現実と戦えそうです。
寒いので体に気を付けて。

メイドデイズの4が途中で切れてて読めませぬ(´・ω・`)

No title

青字の方はあっちの男か・・・?
まぁそれはともかく面白いです!
こいつは事件がおきる味だぜ・・・

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プロフィール

あるてぃめっと☆るいるい

Name:あるてぃめっと☆るいるい
***
物語とか絵とかゲームとか、
色々つくることが大好きです。
基本は文章書き。

2014年4月以降で現在お仕事募集中です。
お気軽にご相談ください。
安くて早くて安心ね! を目標に。
メールのレスポンスは超早いです。

連絡先は以下です。
bagarana☆yahoo.co.jp
(☆を@に)

Twitterはこちら→Ul_Rui_Rui
(たぶんコレが一番頻度高いです。
 細かい情報は全部ここで済ませてたりする)

ニコニコ生放送もやってます
コミュ→co15316

よかったらみてやってくださいまし

以下は僕のpixivですわー



↓シナリオライターやりました↓
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