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だから愛しています”ご主人様” 茶

こんばんわ、アルティメット☆ルイルイです
整骨院でもらった湿布がやばい、超強力


昨日も今日もブログのコメみながら作業作業。
やる気が俄然でてくるもんです。

そして書きたくなってしまうもんです。


では、どうぞ
茶の背にあるものは

男「なぁ、茶ってさ」
茶「はい?」
男「趣味とかあるのか?」
茶「趣味、ですか……? うーん、どうでしょう」
ある夜係の日、私はご主人様のベッドの脇に置かれたイスに座りながらご主人様と就寝前のお話をしていた
ご主人様はあまり口数が多くない
だから自然と私が話題を振りながらの会話が常だったのだが、今日は珍しくご主人様から話題を振ってきた

他の子らは、例えば料理とか裁縫とか栽培とか読書とかゲームとかパソコンとか、何かしらの趣味、または好きな物、事を持っている
だけど私だけは、何が好きなのか全く分からないと、ご主人様は言うのだった
私は指を顎に当てて考える
私の、好きな事……?


男「ないのか?」
茶「すいません、考えてみると……思い浮かびませんね」
男「そうか」
ご主人様は少しだけさびしそうに目線を下げた
心配させてしまったのだろうかと思い、私は取り繕う
茶「だからといって今の生活がつまらないとか、そういうことはありませんよ? 寧ろとっても幸せです」
男「いや、そうじゃなくて……」
あれ、違う?
じゃぁ、ご主人様はなんでそんな顔をするのだろう……、私は困ってしまった
茶「どうなさいました?」
男「うーんと……、お前さ、もしかして引け目か何か、感じてるのか?」
茶「引け、目……?」
男「あぁ」


男「お前ってさ、いつだって一歩下がったところにいる気がするんだが……気のせいか?」
一歩下がったところ……
男「いつだって皆をフォローする位置にいて、でも自分を中心にしようとしない。そう見えるんだ」
茶「……」
男「……?」
ご主人様は、鋭い
確かに私はご主人様の言うとおり、一歩引いたところにいるようにしている
でも完全にいなくなるわけじゃなくて、輪を綺麗に保つよう動いていた
皆がまとまるように、自己を大きく出さないようにしながら、空いた部分を埋める
それが私のスタンス
それは――


男「全員の正確な年齢は知らん。が、お前が一番高いってのは知ってる」
私はまだ成人ではないものの、私の次に、つまり全員のうち二番目に年齢の高い銀よりも、さらにもう数年も高かった
男「俺がお前らをあそこから連れ出した時、お前と同年齢くらいの子が残ってたよな」
そう、私は”私より年齢の低い子がいるのにも関わらず、あの場所を出てしまった”。
男「前から気になってたんだ。……お前だけ、皆と少し違う」
茶「鋭いのですね、さすがご主人様です」
男「なぁ、なんでなんだ?」
なんで?
そんなこと、聞くの……?
茶「秘密、というわけには行きませんか?」
男「家族でも秘密はあって然るべきだが、俺はお前に引け目を感じて欲しくない」
茶「……わかりました。ご主人様になら、大丈夫でしょう」
私はゆっくり、あの時を思い出す


長「指名だ、行って来い」
茶「……」
あの日、私はあの店に買われ、そして初めての客を採ることになった
私はコンクリートでできた部屋の中で、空ろな目を店長に向けながら立ち上がる
他の、あの店で既に働いていたお姉様方――その中には年下の子も居た――にぎゅっと抱かれ無言の応援をもらった後
店長の汚らしい手に引かれながら、その部屋を出た
あの時買われた十一人の内、私が最年長で、だからこそ最初に部屋を出されることになった
他の子に比べ、絶望に対して”理解”していたからだ
もうここで抗っても仕方ないと、理解していたから、私が最初に選ばれた
どうしようもなくて、流す涙もなくて、私は絶望と共にこれから生きるのだろうと思いながら
悪趣味な廊下を歩いた


この時、店長は私たちの部屋の鍵を閉め忘れていたらしい
きっと金に目がくらんでいたのだろう

ドンっと、右腕に誰かがぶつかる
茶「!?」
緑だった
あの部屋から、飛び出したようだ
緑は私に一瞥くれた後、その店を飛び出した
長「とっ捕まえろッッ!! どれだけ高かったと思ってるんだ、絶対逃がすなッッッ!!!!」
店長の怒号が狭い廊下に鳴り響き、私は恐怖で耳をふさぐ
あぁ、緑、逃げちゃだめ……そんなことしても、体を傷つけられるだけ……!
私は心で叫ぶ、何をしてるのと叫ぶ
でも声に出せないかった。そんなことしたら、私もこいつらに暴力を振るわれる……っ
私は自分の非力に、泣いた
長「けっ、手間がかかるぜ……」


店長は縮こまった私の腕を強引に引っ張る
長「ほらッ! 立てよ!!」
怖い、怖い、怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い
私は、足が震えて立てなかった
絶望なんて、絶望なんて、怖くないって、どうせ逃げられないんだから怖がっても仕方ないって
そうやって自分を納得させてたのに
緑の走り去る後ろ姿、叫ぶ店長、追いかける男達を見て、緑がこの後どうなるのかを考えてしまって……
怖くて……怖くて……
茶「あぁ。あぁああぁあああ…ああああ」
私は、泣き出した


でも
様子がおかしかった
緑を追った二人の男が”緑の手を引かないで戻ってきたのだ”
店長と男達が、二言三言交わすと、店長は私の腕を放り投げ、血相変えて店を飛び出した
私はその場に放置されたが、怖くて逃げようとは思えなかった
でも客を採るのが嫌で嫌で、私は無我夢中でコンクリートの部屋へと戻る
意味なんてないのは分かってた。ここに戻るって事はつまり、すぐにでも店長がきて連れて行かれる……
お姉様方、しきりにどうしたのと私の頭を撫でてくれた
それだけが、救いだった……


扉が開かれる。今度こそ、私は……
……え?
男「こ、これは……」
そこには見知らぬ男が一人、私たちの部屋をひどく驚いたように見つめ、目を見開いて立っていた
誰……?
男「……助けに、きた。いや、違うな……、正確には金を使いに来た」
あぁこの男に、私は……
緑「皆、助かる。ここから、出れる」
私は耳を疑った
ここから、出れる?


緑から、私たちは事情を聞いた
この人が緑を助け、そして私たちをここから開放してくれるとのことだった
信じがたい話だったが、この人の表情をみると、私たちを”そういう意味”で買取ろうとしてるわけじゃない事は感じられた
哀れんでいるような、怒っているような……、すくなくとも自分の欲望を満たす道具を品定めするような、そんな目では断じてなかった
その希望の光はどんなにまぶしかった事だろう……

しかし、私たち全員をここから出すと言った男の言葉を、お姉様方は断った
男「何故だ、こんなところがいいのか?」
お姉様方は首を振る
姉「私たちは……、ここにしか居られない」
男「そんなことないだろ」
姉「……私たちは……、いけない……」
お姉様方は、決して”行きたくない”とは言わなかった
その顔は、悲痛
姉「この子たちを、よろしく、お願いします……」
男は何度もお姉様方を連れて行こうとしたが、全く折れようとしないその姿を見て、ついに観念した


男が店長に話をするために一度この部屋から出ると、お姉様は私にこう言った
姉「他の子を、お願いね」
茶「なんで、なんでお姉様はいかないんですか!?」
お姉さまは押し黙り、言うか言うまいか迷ったようだが、小声で続けた
姉「今この辺りで、ある病気が蔓延してるの……」
茶「病気……?」
姉「そう。性病」
茶「え、え……?」
姉「私たちは、たぶん、もう、掛かってる」
茶「!?」
姉「だから、だめなの。私たちが一緒に行って、一人でもかかっていたら……
  例えばお風呂にはいっただけでも、いいえ、単なる日常の一コマでも、感染する可能性がある」
茶「そ、そんな……で、でも絶対掛かってるわけじゃないんですよね!?」
姉「可能性がある。それだけでダメなの。こんな場所から救い出されるなんて、まさに万に一つの奇跡。
  だからこそ、貴方達に訪れたその奇跡を、少しでも揺るがしたくない……」
そしてそれにお姉様方全員が同意した
茶「なら、私もっ!」
こんな状況でここを抜け出すなんて、お姉様方に申し訳が立たなかった
お姉様方が死すら覚悟している前で、私だけなんていえなかった
何より年下の子だっているのだ……だったら、私も、お姉様方と、一緒に……


姉「貴方は年長者で唯一その可能性がない。……だから、行って。そして皆を、お願い」
茶「そんな、そんな!」
姉「貴方に皆を託すわ。私達があの子達の力になるためには、これしかないの。
  でも貴方はもっと皆のためになれる。だから、私たちの分まで、あの子達を……」
それは心からの願いだった
本当は自分達だって戻りたいのにそれが出来ず、彼女らを守る事すらできない事が、悔しかったのだ
唇から流れる血が、それを物語っていた
姉「おねがい……」
流れる涙に、私はどうしようもなく打ちのめされる
茶「……はい……」
私は、その願いを承諾する。それはつまり、お姉様方の思い全てが、私に託されたという事だった


男が戻ってきて私たちを連れ出す際、お姉様方は私にこう耳打ちをした
姉「”心配させるといけない”から、みんなには、秘密にしてね……」
心配させてはいけない。負い目を持たせてはいけない
それがお姉様方が最後にできる彼女達への手助けだった
茶「……はい……」
私は胸それを胸に潜め、その男の後ろをついていくのだった


茶「だから私は、自分を表に出さない事にしたんです。そんな権利、ないですから……」
心配させないように注意しながら、私は皆のフォロー役として立ち回る事を決めた
茶「それが、私の引け目。でしょうか」
男「ふむ……」
茶「あ、これ他の子に言っちゃだめですよ?」
男「あぁ、分かってる。だが、秘密だといわれたのに俺に言って良かったのか?」
茶「私が秘密にしろって言われたのは、他の子たちだけです。ご主人様は含まれてませんから」
男「……そうか」
茶「お茶を、いれますね」
ご主人様が難しい顔をして俯いてしまったので、私は続ける言葉も見当たらず、仕方なくそう言った


男「権利がないなんて事はないんじゃないか?」
茶「はい?」
男「お前達にとって、俺が助けたのは神の奇跡だったんだろ?
  その奇跡を手にしたのに、自分のためにちょっとも使わないってのは、なんかちがう気がする」
茶「私はお姉様方の事を知っていて、私より年下の子もいるのにあの場所から出た最低な人間です。
  私という私は、その時点で存在できなくなったと同義でしょう。
  ですから、今ここにいる私は、彼女達を気遣うお姉様方の心の塊なんです」
私はもう、私じゃない
男「おかしなことをいうな、お前は」
茶「おかしいですか?」
男「お姉様方とやらの心の塊なら、お前が一番楽しまなくちゃいけなくなるぞ?」
茶「……?」
男「彼女らは、あそこから抜ける事のできるお前達をそりゃもう心の底から祝福して
  自分と同じような境遇で死なずに、あの場以外で人生を送れることを喜んでくれたんだろ?」
茶「えぇもちろん。心の底から、喜んでおりました」
男「だろ? で、その”お前達”にはお前も。つまり茶も入ってるわけだよ」
茶「……」
男「抜け出せた子全員の事なんだから」
茶「でも私は、お姉様方に、あの子達を託されました。私は日常を守る側なんです」
男「あぁうん、皆の面倒みてくれたりまとめてくれるのはいいことだと思う」
ご主人様はそこで一呼吸おいた

男「だが、自分を殺す必要はないんじゃないか」


私を殺す必要がない?
だって私が楽しんでしまったら、お姉様方はどうなるの?
私は”あの子達”を守る事、”あの子達”の日常が楽しく送れるようにする事を託されている
私は”偶然”にもあの場をでる条件。つまり純潔を持っていただけ。
他の子に比べ年の経た者として、あの場に残るべきだったのに
その偶然を持ち合わせていたがためにあの場をでてしまった
あの場にいなければならない のに あの場から出ている
そんな自分が、この状況を楽しんで良いわけない

男「俺の言ってる事、間違ってるか?」
茶「”自分”が生きる権利がないのだから、”自分”を殺すしかありません」
男「頑固だなぁ」
茶「……すいません、本当は、私も分からないのです」
男「ふむ?」
茶「ご主人様の言ってる事、分かります。
  でもどうしても、私は私の事が、あの場を逃げ出してしまった弱い者にしか見えないんです……」

薄々……いや、普通に、私が”あの子達”の中に含まれる事は気付いていた
でも、どうしても皆と一緒に楽しむ事ができなかった
いつも、あの時のお姉様方の表情を、思い出してしまうから……
でもそれは、お姉様方を悲しませる事も理解していた
お姉様方は、私にこんな風になって欲しいわけじゃない
出れるのだから、精一杯人生を楽しめと、絶対にそう思っている
そういう人たちだからこそ、”あの子達をお願い”と私に託したのだ


男「そっか、理解はしてるんだな」
茶「はい……」
男「じゃぁ、趣味、さがそう」
茶「は、はい?」
男「結局、頭では理解してるが体が動かないってやつだろ?」
茶「かなり強引な纏めですが……、そうですね」
男「はは、だから、俺が動かす」
茶「ご主人様が、私を?」
男「そんな想いを持たせたのは俺の責任だ」
茶「いえ、責任どころか、貴方は感謝されるべきお方です」
男「俺が居なかったら、そんな想いしなかったろ?」
茶「ですがずっと絶望と共に歩く事になります。今、この場にいるだけでも、奇跡なんです」
男「じゃぁその奇跡、たのしまなきゃ損だ」
茶「……くす、あぁいえばこういいますね」
男「でも理解してるんだろ?」
茶「はい」
男「きっかけがあれば、自ずと体も動いてくれる。だからそのきっかけを強引につくるぞ」
茶「ご主人様、そんなに積極的な方でしたっけ?」
男「お前は少し、背負いすぎてるんだよ。俺にも背負わせろ」

男「それにだ。この家の人に居る子を守るのは、お前じゃなくて俺だからな。……勘違いするなよ」


あぁ。ご主人様
貴方は、本当に……


次の日、私はご主人様と共に家を出た
茶「なんだか、皆に悪いです」
男「大丈夫だろ」
ご主人様と二人きり――デートだった

電車で十駅も行けば、景色はガラリと変わる
私たちの住んでいるところと比べれば、人も多かった
だというのにご主人様は、周りを全く気にせず、私の手を引いて歩く
すこし、はずかしかった――けど……うれしかった


ご主人様に連れられてきたのは、大きなショッピングモール
男「ここならなんかみつかるだろ」
茶「なんでもありそうですね」
男「あぁ、なんでもある。買える物なら大体」
茶「楽しみです♪」
男「そりゃ良いこった。よし、趣味みつけるぞ」
茶「見つかるでしょうか」
男「ま、見つからなくても楽しめ」
既に、楽しいです……っ!


私たちは、手当たり次第色々なお店に入ってみた
お料理道具をみてみたり、お裁縫のお店にはいってみたり、パソコンをみてみたり
ゲームセンターは面白かったかな。まぁ、ご主人様がとっても上手くて、ソレを見るのが面白かっただけだけど
恋愛モノの映画もみてみた。これもご主人様の反応が一々面白くて、映画よりそっちに集中してしまった
お洋服もみた。ご主人様を着せ替えて遊ぶのがとっても楽しかった

男「うーむ。遊ばれてる気がする」
茶「そんなことないですよ♪」
男「次はどこだ」
茶「楽器屋さんがあります、入ってみたいですっ」
男「よし」


私は歌が好きだが、楽器というものに触れた事は無かった
茶「これは……?」
男「ピアノだな」
茶「どんな音がなるんです?」
男「えーと……よし、いっちょひいてやろう」
茶「ひけるんですか!?」
男「まぁな」
ご主人様が、ピアノの前に座る
指が鍵盤をはじくと、綺麗な音が鳴った
…………。

茶「わー、すごい。なんていう曲なんですか?」
男「ねこふんじゃったという」
茶「あら、可愛い名前ですね」
男「小学生の時に少しやってたんだが、今じゃこれしかひけない」
ご主人様にはあまり似つかない、かわいらしい曲だったが
そのピアノを弾いている姿は、とても、かっこよかった


茶「私も、弾いてみたいです!」
男「お、これか、これなんだな?」
茶「え?」
男「興味、あるんだろ?」
茶「あ、うーん」
興味はある。確かにある。
けど。うーん……?
男「まぁ、それだけで趣味を見つけたというわけにもいかんか」
茶「あはは、はい」
男「買ってみるか」
茶「え、え、こんな高いものを、そんな、いいですっ」
男「でも買ってみないと面白いかわからん。まぁお金ならあんまり気にするな」
茶「そんな、だめですよっ」
男「うーん、映画の千円もピアノの二百万も、あんまりかわらんのだがなぁ」
茶「その考えはちょっとおかしいですご主人様っ」
男「む、そうか……、じゃぁそこの電子ピアノにしよう。一万円だ」
茶「む、むぅ……」
男「欲しくないか?」
茶「なんでも買えば良いってものじゃ、ないです」
男「ふむ……、そうか、そうだな。お金でどうこうってのはいかんな」
茶「ですです。女様もよく言ってらっしゃいます」
男「そうなのか? ……あぁ、そうか。あいつ家賃払ってるしな」

私たちはその後も少し楽器を見て、その店を後にした。
本当は、欲しかった。
ご主人様のあの姿を見て、自分も音を鳴らせたら楽しいだろうなって思った。
でも、だからすぐ買うっていうのは、ちょっと違う気がしたのだ
何より、ご主人様のためにならないと思う


私たちは帰りに緑に頼まれていた夕食の食材をいくつか購入し、駅へと向かう
茶「今日は楽しかったです!」
男「そうか、そりゃ良かった」
茶「ご主人様、お疲れですか?」
男「太陽に当たると溶ける性質なんでな」
茶「もう、そんなんじゃ本当にもやしになっちゃいますよ」
男「善処する」
茶「いけないご主人様ですね……、……あら?」
男「ん?」
男の子が、道端の隅っこで泣いていた


茶「君、どうしたの?」
私はたまらず、声をかけた
男の子の返答は要領を得ない。私は目線をあわせ、頭を撫でて落ち着かせる
男「迷子か」
子「うっ……うん……」
男「だれと来たんだ?」
男の子は、ご主人様のその淡白な問いを怖がったのか、私にぎゅっと抱きついてきた

男「む」
茶「あはは、ご主人様怖がられてますね。よしよし」
男「子供は苦手なんだ」
茶「私は、好きです」
男「そうかい」


男の子が泣き止むと、私はゆっくりと話を聞いてみた
茶「だれと来たのかな?」
子「……ママ……」
茶「ママと二人?」
子「こくん」
茶「そっかそっか。いつごろはぐれちゃったの?」
子「さっき……」

男「さっきか、なら近くにいるかもな」
茶「ですね。……大丈夫、あの人が絶対にママ見つけてくれるからね」
子「本当?」
茶「うん」
男「おい、待て、あほなこと言わんでくれ」
茶「こういう時は落ち着かせてあげないといけないんです」
男「だがな……」
ご主人様は参ったなという風に、近場をきょろきょろと歩く
さっきあんなこと言われたから、ご主人様は見つけてやらないと、って思っちゃってるのだろう
可愛い


男「あぁまて、こういうときは駅員に渡せばいいんじゃないか? 駅近いし」
茶「そんな無責任ですっ」
男「いやだってほら、むしろそっちの方が見つかるような……」
茶「じーー」
男「むぅ……。……あ。見つけたかも。ほら、歩道橋の上」
茶「え?」
男「待ってろ」
歩道橋……? あ、あの人かっ
取り乱した様子で走っていたから、遠目にも良く分かる


ご主人様はすぐにその人を連れてきてくれた
正解だったらしい
その女性は、男の子を抱きしめ、私たちにこれでもかというくらいお礼をして帰っていった

茶「良かったですね」
男「迷子は怖いからな」
茶「ご主人様も迷子になられた事が?」
男「昔の話だ」
茶「くすくす」
男「……。帰るぞ」
茶「はいっ」
ツカツカと歩き出すご主人様の背を、私は追いかけるのだった。


それから数日後のお昼。私はご主人様に呼び出された
茶「どうなさいました?」
男「来たか。まぁ座れ」
私は促され、イスに座る
男「なぁ、茶は子供すきなんだよな?」
茶「はい」
男「で、ピアノも弾いてみたいんだよな?」
茶「は、はい……」
男「保育士ってしってるか?」
茶「ほ、保育士……?」
男「あぁ。子供の面倒を見る仕事だ。ピアノも弾いたりする」
茶「!?」
男「面白そうだとおもわないか?」
茶「え、は、はい……ですが、私はピアノも弾けませんし……、そもそもお仕事はここのメイドです」
男「別にいますぐメイドをやめるってわけじゃない」
茶「?」
男「保育士になるって目標があったら、少しは面白いかとおもってな」
茶「目標……ですか」
男「そう、目標。どうだ?」
茶「どうだと言われましても……、よく分からないです」
いきなり保育士はどうだと言われても、なんともいえない。
子供の面倒をみて、ピアノを弾けるなら、確かに面白そうな職業ではあるが……

男「読んでみろ。詳しい事が書いてある」
私は渡された冊子に目を通す
それは、保育士の仕事について、だった

ぐらっと、心が、揺れる


茶「……面白そう……です……」
男「だろ? どうだ、目指してみないか」
保育士を目指す……。できるだろうか
男「さっきも言ったが今すぐにじゃない。だが目標を持つ事は人を変える」
茶「……はい」
男「人を変えるナニかは宝だ」
目標が、宝……
男「別に絶対になる必要もないが、今までの自分を変える為に……どうだ」
茶「……」
自分を、変える
前にご主人様は、変わる事について語った事があった
ご主人様は私たちにあって変わったのだと
だからご主人様は、変わる事の大切さを知っているのだと


茶「やって……みます」
男「お、そうか」
ご主人様が嬉しそうな顔をしてくれた
何よりその顔が、私には……嬉しかった
茶「あ、でもピアノも練習しないといけないんですよね……?」
男「これつかえ」
ご主人様が後ろにあるクローゼットから、長方形の箱をとりだす
男「俺が昔使ってた電子ピアノだ。家から持ってきた」
茶「――っ!」
ご主人様が使っていた……ピアノ……
男「たいしたもんじゃないけどな」
茶「いいんです、か……?」
男「あぁ、そのために持ってきた。どうせもう俺は使わないしな」
楽譜もあるぞと、渡される


茶「手際が……いいですね」
男「暇だからな」

ご主人様は、私にやりたい事を見つけてくださった
だが、いいのだろうか……私はきっと、楽しんでしまう
ピアノを学ぶ事も、保育士になることも……
男「楽しめ。お前の人生だ」
茶「……」
私の人生……ご主人様が与えてくださった人生

茶「……はい」
ご主人様は軽く手を上げると、ベッドに寝転んでしまった
私は……、こんなに幸せで……いいのだろうか……


その夜、私はマリア像の前で祈った
ありがとうございます、お姉様方
私は今、幸せです。こんな素敵なご主人様に拾っていただけて、幸せです
送り出してくださったお姉様方
私はきっと、この人生、無駄にしません

男「マリア様はきっと、祈りを届けてくれるだろうよ」
茶「っ! ……声にでてました……?」
いつのまにか、私の後ろにご主人様が立っていた
ポケットに手を入れて、マリア像を見上げている
男「いや、なんとなく」
茶「……そうですか」
男「楽しめそうか?」
茶「……はい」
男「そうか」

茶「ご主人様は、なぜそんなに私たちに優しいのですか?」
男「恩がある。色々とな」
茶「色々……ですか」
男「あぁ、多すぎて言えん」
茶「そうですか」


ご主人様、私は貴方のおかげで、最高の人生をおくれそうです
そして貴方だからこそ、私はこうして自分を殺さないでも良いと思えました
とても優しいご主人様
私たちの中まで見透かすご主人様
私ではかないそうもありません、一枚、上手ですね

貴方だからこそ幸せで、貴方だからこそ私は私になれそうです
だから

だから愛しています”ご主人様”

茶fin
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No title

面白かったよ

1

No title

最高でした!乙です
空隙のモイラも期待してますお

No title

更新早いなおい!
しっっっかり読ませてもらった!
これからも応援してる!

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No title

茶が来るとは予想してなかったです!
凄く面白かった、乙です!

俺ナース派だったけど、このSS読んでメイド派になったわ

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No title

茶さんきたああああああ

本当感謝です!!

No title

おもしろかったよ
っていうか全キャラ分読んだら一人に決められそうにないな
罪な文章やわ

No title

文字がぼやけて見える・・・
視力おちたかな

No title

中学生って肩身狭いのね



かと言って大人にはなりたくないし、困ったもんです

No title

おかしいな・・・
途中から文字がぼやけるな
目の使いすぎかな
ちくしょー

No title

いやー茶もよかった!
1乙!!

No title

1キャラ1キャラ面白い

どのキャラが見たいとかじゃなくて全員みたくなる

No title

面白かったです
その他のキャラ話もモイラも期待してます

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ありがとうございます
今回エロなしですいませんw
茶のエロ成分はまた今度に・・・


ところでいくつか指摘された場所がありましたので修正しときました

マリサ様→マリア様
「一回り」という表現の変更の二つです
年齢で使う一回りは12年だそうで、知らないで使うとは格好悪いorz

ご迷惑おかけしました

No title

(лつω;)ウルウル

別に次を期待なんかしてないんだからねッ!

No title

茶も可愛いですね
次回を期待

No title

ご主人様で一番ゾクっときたんだが
なんだこれ



え?

No title

金はもらっていくわ

ニコ厨だと・・・だけど面白いからいいか

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No title

某まとめサイトからきました。
だから愛しています”ご主人様”非常に面白かったです!
全員分のサイドストーリー首を長くして待っています。
「ゲームなど形にして・・・」というお言葉、期待していますよ!

No title

>>莓****まろさん
PCからのメールを拒否されてませんか?
メールを送信する事ができません。
また、バスターズの正しい表記は「Busters」ですが、
この部分が「Bustes」になっています。
後者の方でアドレスは正しいのでしょうか。
ちなみに、一応どちらもに送りましたが、どちらも送信不可でした。
もし設定が分からなかったら、↓にメールをお送りください
[moeultimate@hmx-12.net]

返答おまちしております

No title

すごく面白かったです
次も期待してます

No title

感動しました。最高です
感謝感謝!大感謝です!

No title

無駄な描写が少ないのでサクサク読み進められ、
まったく新しい印象を受けました。

ゲームも手掛けられているとは驚きです
これからもがんばってください

No title

偶然見つけて一気に読み、楽しませてもらっています。
文章内で「あの時買われた十一人の内」とありますが
買われたのは「赤 緑 銀 金 褐 青 茶 桃 紫 黒」で
女と幽霊入れて12人ではありませんでしたっけ?

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プロフィール

あるてぃめっと☆るいるい

Name:あるてぃめっと☆るいるい
***
物語とか絵とかゲームとか、
色々つくることが大好きです。
基本は文章書き。

2014年4月以降で現在お仕事募集中です。
お気軽にご相談ください。
安くて早くて安心ね! を目標に。
メールのレスポンスは超早いです。

連絡先は以下です。
bagarana☆yahoo.co.jp
(☆を@に)

Twitterはこちら→Ul_Rui_Rui
(たぶんコレが一番頻度高いです。
 細かい情報は全部ここで済ませてたりする)

ニコニコ生放送もやってます
コミュ→co15316

よかったらみてやってくださいまし

以下は僕のpixivですわー



↓シナリオライターやりました↓
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