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だから愛しています”ご主人様” 褐

こんばんわ、アルティメット☆ルイルイです

今回は少し変わった趣向で書き上げてみました
皆様の反応が楽しみであります

上手くかけているかどうかはやはり皆様次第ですが
楽しんでいただけたらなと思います


それではどうぞ





外と中


多くの人がいて、多くの好きと嫌いがある
私は陽を好むが、ご主人様は影を好むように
でもそれは光と闇の問題じゃない
光と闇はそう、”ご主人様”と”私達を捕らえたあいつら”を対比するのに使うべき
それは善と悪の様な物
ご主人様は陽と影としての影を、光と闇としての光を、持ち合わせているんだ
それは光の反対が影じゃない事を意味する
だから私は――


この家に来て間もない頃を思い出す
褐「なぁ、銀」
銀「うん?」
洗濯物を中庭に干す銀を手伝いながら、なんとなく話しかけた
褐「なんでご主人様は、あんまり外に出ないんだろうな」
ふと空を見ると、穏やかな陽の光が私をさしていた
気持ちのいいものだ
銀「外に出たくないからですよ~」
褐「そのくらい分かるよ、もう」
銀はくすくす笑う
褐「こんなにも外は明るくて気持ち良いのに……、なんで出たくないんだろう」
銀「そうだねぇ、気持ち良いのは同感かな~」
褐「でしょ? 家の中にいるより外に出て身体動かした方が断然有意義だと思うんだけどなぁ」
中より外の方が気持ち良いし、実際外の方が身体を大きく動かす事が出来る点、太陽光を浴びれる点等など
明らかに”良い”はずなのだ
銀「でも、有意義かどうかには同意できないっ」
褐「なんで?」
銀だって外の利点は分かってるはずだ
にも関わらず、僕と同じ意見を持たない
なんで?
銀「それは、ご主人様が出たくないから。それだけ~」
干し終えた洗濯物をみて満足げに頷くと、銀は僕を中庭のベンチへと誘導した
銀「中が好きだから、外に出たくない。つまりご主人様にとって外より中の方が有意義なワケだよ、分かるかい、褐君?」
褐「うーん、そうじゃなくってさ。コンピュータとか本とか、中でも楽しい事があるのは分かるんだけど、それでも外の方が良いと思うんだよ」
銀「くすくす、それは褐がそう思うからじゃないの?」
褐「むむ?」
銀「つまり~。うーん、あんまり私この言葉好きじゃない、っていうか口にしたくないんだけどー……」
そこで銀は一呼吸置く
銀「人それぞれ、好きなものの比重が違うってこと、だよ~」
人それぞれ
私の感覚とご主人様の感覚は別物
なんとなくソレは言われれば理解はできた
しかし
褐「なんで言いたくないんだ?」
言いたいことは分かったけど、なんだか腑に落ちない
銀「それで決着しちゃうから、かな。好き嫌いが人それぞれなんて当たり前。でもそれをいう事を避けなきゃお話にならないでしょ?」
褐「う、うん?」
銀「でも好き嫌いはその人自身の現れ。誰にも侵す余地のないその人自身の領域。だから人それぞれで決着しないといけない」
褐「つ、つまり?」
銀「歩み寄りが大事っ」
褐「むぅ」


その後数日、私は余り考える事が得意じゃないけれど、生活の合間合間で思い出しながら銀の言った意味を考えた
「人それぞれ」を言うのは、決着してしまうから嫌い
でも言わなきゃいけない
それを理解するには歩み寄りが必要
褐「うーむ」
それは一体どういう意味なのか
私には少し難しい
そもそもそれは考えるべきことなのか……?
だって「人それぞれ」と言うことで話そのものには”決着”がついてる
ご主人様は外より中が好きだから、または中より外の方が嫌いだから、どちらも似て意味の違うものだけれど、それでもただそのどちらかが理由であるということで決着はついてるはずだ
なら別に考える必要がないんじゃないか?
銀もその言葉が「好きか嫌いか」の二択でしかないわけだから、結局それも人それぞれ……
褐「あ……」
違う、考える角度が違うんだ
人それぞれという言葉が嫌い、の意味を考えるんじゃない
嫌いなのに何故それを銀は言ったのか、を考えるんだ
なるほど、そう考えればまた別の視点で見ることができる
褐「よし、一歩進んだ」
私は自分で考えを進められた事に喜びを感じて、ふふっと笑う


それから少し、ご主人様を注意深く観察してみた
やはりご主人様は中にいる事が多い
特に自室
いつもパソコンを弄っているか本を読んでいるか、寝てるか。大体そのうちのどれかだ
でも別段外が嫌いというわけでもなさそうだった
ふらっと中庭に出る事もあるし、窓から外を眺める事もある
であればやはり、外が嫌いなんじゃなくて、中が好きなのだろう
(僕とは正反対だ……)
僕は外に出るのが大好きだし、陽の光を浴びれば元気になる
逆に中にいると、なんだかつまらない
褐「うぅ」
軽い寂しさを覚えた
好きな人と逆だなんて、やだな
黒「ライバル登場、だろうか」
私がご主人様の後ろをコソコソ付いていっていると、不意に黒の声が聞こえた
褐「わっ、いつのまに?」
僕は驚いて飛び上がる
黒「ずっといたぞ」
褐「全然気付かなかったよ……、忍者みたい」
黒「必死なだけさ」
黒は苦笑いしながらご主人様を見据えた
黒「なんで最近、ご主人様を観察してるんだ?」
僕の方には目を向けず、ただご主人様をみながらそう聞いてきた
褐「知りたくて」
黒「むぅ、やはりライバル登場だろうか……」
褐「どういうこと?」
黒「私も同じだ、という事だよ」
褐「黒は優秀じゃないか、だからこうやって常に気を張ってるんでしょ? 僕は違う。ただご主人様に近づきたくてさ」
黒「くく、同じだよ。褐にはそう見える、それだけだ」
僕にはそう見える?
黒「おっと、喋っていてはご主人様が行ってしまう。行くぞ」
褐「う、うん」
少し頭を悩ませながら、僕は黒の後をついていった


ご主人様が自室に戻り、夜係の子が入ると、僕はとりあえず引き上げた
時間も遅いし、僕はあまり夜更かしが得意じゃないからね
黒はまだ居たようだけど……
(まぁ、いいか)
黒には黒なりの行動パターンがあるのだろう
それこそ「人それぞれ」だ
僕は一人頷きながら使用人室へと戻る
(あれ……?)
廊下を歩いていると、物置に電気がついていることに気付いた
(誰かいるのか?)
普段僕はこの時間まで起きている事は無いから、僕が寝た後皆が何をしているのかをしらない
だから僕はそこに誰がいるのかが気になって、覗いてみる
褐「あれ、紫?」
驚いた事に、そこにいたのは最年少組の紫
全く予想外だった
紫「こんな時間に褐っちゃんとは珍しいね~、どうしたの?」
紫はごそごそとダンボールをあさっていた手を止めて、コチラに振り返る
紫色の癖毛がピョンと跳ねた
褐「それはこっちの台詞だよ、子供は寝る時間だ」
紫「あ、そうか~」
私の話を聞き入れたというよりは、他の何かに気付いたという風に紫はそう言った
紫「褐っちゃんはこの時間起きてないから、知らないんだね」
褐「ん?」
紫「いつもこの時間、私は起きてるんだよ~」
褐「そ、そうなのか?」
紫「うん。お祈りの時間だからね」
褐「お祈り? ……あ、マリア様ってやつ?」
紫「そうそう」
前にちょろっと話にでてきたくらいだから忘れていたけど、言われてみれば紫はマリア様のことが好きだとか前に言っていた気がする
でもそれはほとんど話題に出てこないから、ただちょっと興味があるくらいだろうなとその時思っただけで余り記憶には残っていなかった
褐「なるほどね。でもそれならなんで物置に?」
紫「蝋燭と燭台、後マッチを取りにきたのー」
紫は一度ダンボールに向き直ると、ゴソゴソやりながら蝋燭、燭台、マッチを手馴れた作業で取り出していく
紫「ほら、これだよ」
褐「へぇ……」
紫の見せてくれたソレは、非常に立派なものだった
褐「これ、すごいなぁ」
紫「でしょー。私も見つけたときはビックリしちゃったよっ!」
自分の好きなものを褒められて嬉しかったのだろう、紫はニコニコしながらそれを渡してくれた
僕はそれを受け取り、見た目に反して軽いそれを持ち上げてよく見てみた
彫られた細工はシンプルなものだったが、それはむしろ過剰なものを捨て去って一番いいとこだけを残したような
原石は大きくてもカット後はその何分の一にもなる宝石のような、そんな輝きを持っていた
台のところを見ると、使い古されているのもよく分かる
きっと僕達が来る前に住んでいた人達が使っていたものだろう
紫「これから行くけど、褐っちゃんも来る?」
褐「お祈りに?」
紫「うんうん」
褐「うーん……」
承諾するのは簡単だが……
褐「いや、いいよ、やめとく」
紫「えーなんでなんで?」
褐「神様って良く分からなくてさ、何を祈ればいいのか、どう祈ればいいのかも分からないからね。行っても仕方ないよ」
紫「祈り方なら教えてあげるよ? あとマリア様は神様とは一応別物っ」
褐「あら、そうなんだ。……うん、それすら知らないんだもの。尚更行っても仕方ない」
僕は苦笑いしながらそう答えると、紫はむむーと言いながら僕を見た
だけどそれ以上食い下がろうとはせず、二言三言軽く言葉を交わすとすぐに紫は聖堂へと向かっていった
(悪い事したかな……)
正直なところ、僕は神様……じゃないんだっけ? とにかくそういった神仏的なものをあまり信じていない
むしろ、紫が信じていられることに驚きだった
何せ僕達はあの地獄をこの目で見てきたんだからね
本当に神様がいるなら……、あんな場所は存在しない
だからあそこに居た人のほとんどは、神様なんてものを信じてなくて、僕もそのうちの一人なんだ
確かに僕はあそこからご主人様によって救われた
見方によっては、その手を差し伸べてくれたご主人様を、蜘蛛の糸をたらしてくれたその人を、神様仏様と言うことは出来るかもしれない
(だけど……)
ご主人様はご主人様という一人の人間であって神様じゃない
それを如実に表すのが、救われたのが僕達だけだということ
人の出来る限界がそこにあったということ
だから僕は今でも神様を信じない
紫が好きなそれを否定するつもりは全くない
でもそんな僕が紫と供に聖堂にいってお祈りを捧げるのは、紫に対してもマリア様って人に対しても失礼だと思ったんだ
僕は先ほどまで紫の居た物置を一瞥した後その扉を閉めると、静かにその場を後にした


翌日、考えるのも面倒になった僕は身体を動かす事にきめた
頭を悩ませるなんてやっぱり性に合わない!
僕は今日の仕事(窓拭きくらいしか割り当てられていなかったけど)をぱぱっと片付けると、一緒にやっていた桃を誘って外に出る事にした
桃「ちょちょっと寒いけど太陽さんはきらっきらららっ! 噛んでない! 表現!」
褐「うんうん、いいね絶好の遊び日和だっ」
玄関前に出ると、掃き掃除をしていた赤を見つける
赤「あれあれ、お二人ともお元気ですね~」
桃「元気が取り得なり! 故に元気なり!」
赤「あはは、かっこいいですねっ」
褐「赤も一緒に身体動かさそうよ!」
桃「うんうんうんっ」
赤「そ、その元気についていけるか心配ですよ……あはは」
そんなことをいいつつも、赤は手っ取り早く辺りを片付け始めてくれた
女「姦しい声が玄関からっ、私も入れるべき!」
ドアがばんっと少し乱暴に開くと、女様がそこから出てきた
続いて紫も飛び出してくる
紫「遊ぶの!? 私も!」
桃「いよぉっし皆であそぶよっよっ! はりきっちゃちゃちゃかかかんだっ!」
桃は輪の中に飛び込んできた紫の手をとって、二人してピョンピョンはねだした
赤「お、女様? お仕事の方は……」
女「だいっじょーぶっ! 大体おわってる! 特にもうやることないからね!」
赤「そうですか、なら安心して遊べますね」
女「そういう事っ! で、なにすんの!」
褐「うーん、この辺りは広いし、なんでも出来るなぁ」
桃「褐大佐! ボールがあります!」
桃は玄関の隣においてあった、バスケットボール大のゴム製ボールを僕に投げつけてきた
それを軽くキャッチすると
褐「よっ」
その勢いを殺さないまま身体を捻りながら回転させて上に放り、落ちてきた所を足で止める
紫「おぉ、かっこいいっ」
褐「ボールとか投げられると、なんとなく遊びたくなっちゃってさ」
女「やるやる、なんとなく手が動く!」
赤「そんなにかっこよく出来ないですけどね~。ところで、ボールで遊ぶのですか?」
紫「フリスビーとか色々あるけど!」
桃「桃はドッジボールを提案します!」
女「ほほう、王道じゃないか! しかし私はここであえての缶けりを推す!!」
褐「どっちも皆で遊べていいなぁ、うーん」
紫「走り回れた方がいいかも?」
桃「となるとドッジボールは却下で缶けけけけ!? なんかへんな噛みかたした!」
赤「あ、私も缶けりがいいですっ」
紫「ということはっ」
褐「決まりだな!」
私達は適当に缶を持ってくると、騒ぎながら缶けりを始めるのであった


夕暮れ、気付けば缶けりはかくれんぼになったり鬼ごっこになったり、なんだかんだと遊び倒した頃
茶「皆さーん、お夕飯の時間ですよ~」
その掛け声によって、僕らは玄関先へと集まった
茶「あらあら、皆さんお洋服が……」
赤「あ、あうあう、遊びすぎてしまいました……」
僕らみんな、なんだかいつもよりはしゃいでしまったらしい
せっかくの服が汚れてしまっていた
褐「あぁ、きづかなかった……、ここまで汚れてるとは」
赤はまだそれなりに綺麗だったが、僕含めそのほか四人は結構ひどい
茶「ふふ、お夕飯の準備より先に、皆さんお風呂ですね~」
緑「お風呂わかしておいた」
青「こくこく」
茶の後ろからひょいっと顔を出す緑と青
女「さっすがメイド! 素晴らしいわ! メイド長の私が褒めてあげる!」
男「その服で言われてもなぁ……。貫禄のかけらもない。まぁいつも通りだけど」
褐「ご主人様!」
ご主人様まで外にまで出てくるとは思わなかったから、思わず僕は声を上げてしまった
男「褐はそのくらいが似合うな」
褐「あ、……ぐう」
似合うなと言われて一瞬喜びそうになったが、よく考えてみれば汚れてる方が似合うと言うのはどうなのだろうとおもいとどまる
少し恥ずかしくなって、僕は言葉を喉に詰まらせた
男「ほら皆さっさと風呂入ってこい。夕飯に間に合わなくなるぞ」
桃「はっ、夕飯っ」
そうだ、これから夕飯ということは……、僕ら以外の人たちでそれを準備したという事だ
夕飯だけじゃない、お風呂もそうだし、その他雑用もあっただろう
すっかり忘れてこんな時間まで遊んでしまった……
褐「す、すいませんっ」
だから僕は謝ったんだけど……
男「ん? あぁ、言いたいことは察する。その上で言うが、だからといって問題はないぞ。な?」
青「こくこく」
褐「そ、そうですか……?」
男「うむ」
ご主人様は軽くそういって頷く
女「そりゃーね! ここのメイドは一味違うしね! さぁ風呂いくよ、メイド長命令っ」
女様はスカートの裾を摘んで持ち上げると、まだ遊び足りないようなテンションで風呂場へと向かった
それに僕ら全員は習うようにしてついていく
男「あぁ、褐」
褐「はい?」
皆が家に入っていく中、僕はご主人様に声を掛けられて立ち止まる
男「楽しそうだったな」
褐「み、見てらしたんですか!?」
男「最初は聞いてた。途中からは見てたかな。楽しそうだったもんで」
また言葉に詰まる
なんと返せばいいのだろう……
男「前に外に出た方が良い、と言っていたよな」
褐「そうですね」
そういえば初めて挨拶に行った時に、そんな話を僕はご主人様にしていた
男「あの時は断ったけど、今日皆をみてたら外も悪くないなって思えたよ」
褐「は、はいっ!」
返事をする声が上ずるほど、僕はご主人様が自分の意見に共感してくれた事が嬉しかった
ご主人様は支柱に寄りかかると、段々と黒の濃くなるその空に瞳を落としながら腕を組んだ
男「だからまぁ、外がみたくなってさ。今俺はこうしてちょっと顔をだしてるんだけどな」
褐「ど、どうですか、外は」
男「うん、やっぱり悪くない」
私は安堵して頬を緩ませる
嫌いじゃない事がご主人様の口からちゃんと聞けた
男「ただまぁ、得意じゃないな。空気は好きなんだが、苦手意識がなぁ」
褐「好きなのに苦手、ですか?」
男「そう。とくにここは自然だらけだし落ち着けていいんだけど、それでも周りに壁がないと安心できないんだ」
褐「僕は壁が無い方がいいです。いっぱい動けますし……」
男「だろうな。はは、俺達はなんだか対比だな。中と外の」
それ、いつも考えてました……と、心の中で思う
だからこそ、ご主人様と自分はほかの子と比べて一番遠いのかな、なんて
でも……、今の言い方、何か変?
なんだろう、良く分からないけれど
壁がないと安心できないって、それは好き嫌いの問題? って思わせるような
何かそこにあるご主人様の想いが、僕の思う対比の問題とまるで違うような気がしたんだ
男「どっちも悪いってこたぁないんだろうけど。あぁ、俺の方は悪いかもな、健康的とはいえないし」
なんでそんな言い方するんだろう
まるで普通の好き嫌いの会話をしてるように話すんだろう
その言い方、絶対違う
褐「悪いってことはないですっ」
でもまだ頭が追いつかない
だから普通の会話を僕は”続ける”しかなかった
男「ふむ? 外に出た方が良いって言ってたじゃないか」
褐「それは……」
それは好きなものを共有したかったから……
僕はご主人様の違和感を考えることを一度やめて、今までの学んだことを吐露する
褐「好きなものって、人それぞれで、好きなものほど良い面が見えると、思うんです」
見え方が違う
好きというスタンスで見るのとそれ以外のスタンスでみるのでは、無数の見え方の違う角度がある
褐「だからその、中にも外にも良い面があって、それは好きな人だからこそ見える場所も含むんです。だからご主人様にとっては外の良い所に、僕にとっては中の良い所に、見えない場所があるんです」
男「ほう」
褐「見えない場所の良さを知らないで、良し悪しを決める事はできません……」
男「なるほど」
角度の違い
ここ数日で見た皆の言葉を思い出してでた、精一杯の僕の答え
その面を見なければ分からないから……、見た人と見てない人、つまり「人それぞれ」ができる
僕は思う
銀が言った”歩み寄り”は、相手のことを考えることだったんだ
あの時僕は外に出る方が”有意義”だと、より多くの外の良い面をしっているからそう言った
でも今の自分の意見で考えてみろ
僕は外が好きだからそう言えるけど、中が好きな人から見れば「より多くの中のいい面」を知ってるはずなんだ
つまりこの時僕は、人それぞれが創られる、という当たり前の事実を見逃していた
だから銀は教えてくれたんだ
歩み寄るための大前提を……
経験があれば、見え方が違ってくる
好き嫌いの二択ではないけれど、黒にしても紫にしても、それぞれ彼女達なりの前提があったんだ
僕から見れば黒は優秀だけど
黒から見れば黒自身は優秀じゃない、とか
僕から見れば紫の信仰は興味程度だとおもったけど
紫から見れば紫自身の信仰はとても意味のあるものだった
その人のしてきた経験を知らないから、僕は自分の持つ勝手な知恵だけで「黒は優秀」「紫の信仰は興味程度」と決め付けていた
僕は学ぶ
「人それぞれ」は”言葉にする必要のない前提”なのだと
それを踏まえた上で話すのが”歩み寄った会話”なのだと
結局の所、僕は自分勝手なだけだったんだ
「みんなちがってみんないい」という言葉を忘れてた、ただそれだけだった
当たり前すぎて、銀も言いたくなかったんだと思う
(……ここまではいい、ここまでは分かる)
ここ数日考えながら生活してきたから、いまご主人様の前で咄嗟に出た言葉から、ここまでは理解できた
ここまでなら銀の言葉の説明、黒や紫で経験した事を理屈の中に組み込む事ができる
だけど今さっきまた一つおかしなことがあった
ご主人様は出たいのに出れない、なんていう相反する矛盾を持ち合わせていたのだ
”好きなのに苦手”
男「うん、なにがあったか知らんが、成長したな、褐」
褐「は、はい?」
男「そうやって自分の意見を言うってことは、考えてたってことだろ? その意見、前の褐とは少し違うし」
僕は良く分からず首を捻る
男「別に偉そうに言うつもりは無いんだけど、前の褐は相手に自分の楽しい事を教えてあげようとする立場だった。もちろん悪い事じゃない、楽しい事好きなことを教えてあげるのは良い事だ」
褐「そうですね……、ご主人様を外に誘いはするものの、ご主人様の得意な物には余り触れようとしませんでした」
男「そうだな、何度も言うがそれは悪い事じゃない。でも褐は今、相手の好き嫌いを一つ深く考慮した上でそれが出来るようになっていた。これはたぶん成長ってやつだな」
よかった……、自分の意見は間違えていないようだった
それをご主人様に認めてもらえた
男「俺も、成長しなきゃなぁ……」
褐「ご主人様は、今でもとても立派です!」
男「いやぁ、ほら。さっき壁がないと安心できないって言ったろ? 自分の考え方が変えられないからそうなってるんだ。だから好きなものに近寄れないなんてことになってる」
あ、さっきの違和感……
男「褐が成長したように、俺も今までの自分から変わらないといけないわけだ」
やっと私は気付く
あの時の銀はご主人様が好き嫌いの問題でご主人様が外にでない、と言っていた
だから違和感が生じた
違う、ご主人様はそれ以外の問題で外にでないんだ
それはご主人様曰く「変わらないといけない」物
そうか、そういうことか
僕は今、少なくともあの時の銀よりご主人様の核心に近づく事が出来たんだなと、ちょっと不謹慎ではあると思いつつも喜んでしまった


そんな事が、僕らがこっちに来た初めの頃にあった
今ではご主人様が中にいようとすることに理由があるのを皆は知っているけれど
僕は一番最初にそれを知る事になったんだ、なんて毎度心の中で思う
あの時学んだ人それぞれの価値観の違いは、僕を一歩成長させてくれたのはもう理解した
だから私は”本を読む”
本を読むことで知識が多くなる、というのは建前
本を読めばご主人様に近づける気がしたんだ
人を理解するならば、その人の好きなものを順番にこなしていけばいい
そうすればその人が見てきた世界が見えるかもしれない、という理屈
中と外、それはまるで別物だけど
近づく余地のないものではない
ご主人様はそれを僕に教えてくれた
僕は物の見方が少し偏っていたらしい
それを見直したのが、成長
褐「ふふっ」
最近、ご主人様は外に出てきてくれる事がほんの少しだけど多くなった
ちょっとのキャッチボールくらいなら付き合ってくれる
ご主人様もまた、僕に、外に一歩、近づこうとしてくれているらしいことの現われだ
嬉しい
自分の好きなものを共有できる事が、歩み寄ってくれる事がこんなにも嬉しい
そうしてまた僕は新しく学んでいくのだろう
それはご主人様の役に立ってくれるだろうか……


あぁご主人様
貴方は自分に変化を与えたと言って私達を褒めますが
逆ですよ
変わっているのは私達です
みんな着実に自分達の知らない面を覚えて、変わって、成長していく
その場を作ったのは貴方です
この場があるから皆がいい方向に変われるんです
ご主人様
貴方はなんて、素晴らしいお方なのでしょうか……


そんな貴方はいつも私達のことを考えてくれて
私達のために良くしてくれます
場を作ったのは貴方なのに、その場に感謝までして……はは、可笑しいですね
でもそんな貴方だから私もこうしてメイドという仕事が出来ています
自分でも似つかないななんて思ったんですよ
でも貴方だからこうして出来る
似つかない事もまた、自分の成長になると思えるから


だから

だから愛しています”ご主人様”

褐fin
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No title

おもしろいなぁー

(*´-ω-`)・・・和み・・・
どうでもいいけど「上と外」を思い出した

くそ……一ヶ月ほどみるのさぼってたら一気に進んでるorz

だからここで叫ぶぜ


萌えあるちめっっっとぉぉぉぉぉ!!!!

No title

体調大丈夫ですかね?><

手がぁ・・・とかいろいろ呟いてましたが・・・

だか愛・・・

ハマりすぎてやばいですw

希望というか・・・
全員の絵と自己紹介?みたいなのがみてみたいw

あぁ、みんな可愛いなぁ…!
短編が出る度にニヤニヤが止まらなくなります。

No title

(*´ω`)ほんわか~

かわいいのう皆…ああええのう、ええのう。

風邪だったのにお疲れ様ですよ。知恵熱じゃないけどぶり返さないよう気をつけて。


桃噛んだ!そしてカッチャン!こうs(ry

ほんわかほわほわ…

最高にほわほわした気分にさせてもらいました

身体に気をつけてください~

褐かわいいなぁ……

もうほんとに‘ほっこり’した気分になる(*^ω^)

最高のSSです(≧ω≦)

次は青がいいかな

No title

乙でしたー

やはり面白いです!
褐はそういえば元気っ子だったなぁ…と
僕っ子が可愛すぎる
黒もいいけd(ry

次も楽しみにしてます、頑張ってくださいー

また時間忘れて3回読み直しました、相変わらず読みやすくてのめり込んじゃいますね

そしてやはり最近の褐が可愛いですハイ
しかし黒もタマラナイ……

(W*×*)今褐=黒≧閣下『萌あるちめっとぉぉぉぉぉ』な状態です

No title

いいですね^^
いつもほっこりしますよ~

とらのあなで注文もしたしツイッターでフォローもしたんで後は読み返しながら到着と次に話を待つだけです^^

「みんなちがってみんないい」
金子みすずですね。自分も好きな言葉です
今回も素晴らしいものをありがとうございます。

会場で叫べなかった分を叫ばせていただきます。
萌あるちめっとーー

No title

お加減如何でしょうか?
今回も読後感が素敵なことに…
「噛んでない! 表現!」これがとても好きですわw

No title

とらのあな、、、普段なら絶対に利用しないであろうとこ。
でも今回はどーしても欲しかったので、最初で最後のつもりで注文しました v(^^;

…でも、この調子ですと「続編」出版もあり得ますかね。
会員登録メールをちゃんと保存しときまふ。

これからも楽しみにしてますね。。。

No title

萌えあるてぃめっとぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!
茶可愛いよ可愛いよ茶!

No title

お疲れ様でした
毎回楽しんで読んでます
ところで俺の赤の出番はいつなんだろう

No title

褐もいいわぁ・・・ 
成長するってとてもいい言葉。

本日やっとこ「とらのあな」にて買ってまいりました。
うへへ書き下ろしwktk

No title

とらのあな店頭販売もあったのか!
明日行って来なくては!

No title

あいかわらず良いですねー
素敵なお話でした

No title

本日、とらのあなから届きましたよ!!
一気に読んでしまいました

でも、文字がちっちゃくて目が疲れたぁ
年寄りには酷ってもんじゃ

さて、今までのSS、これからのSSが
また一冊の、本になってくれることを楽しみにしてまふ

No title

今日とらのあなに行ったけどありませんでした・・・orz
広島は売り切れたのかなー
本の状態で見たかったです><

返事

>>(・∀・)
萌あるちめっとおおおお
ときたまにでもミニきてね
見にきてねじゃなくて、ミニ着てね
ごめんなんでもない

>>(; ・`д・´)
余裕ができたらつくってみますねー
僕もやりたいとはおもいますのでw
やりたいんだけど体力がもたないのですよ
なんかもうつかれちゃってw
ありがと、応援助かります

>>水無月
かわいいよー
僕は銀ちゃんが一番すきです
でもだれもあげません

>>とある道路の雑草
このまえちょっとぶりかえしましたw
テンションがががががが
時間設定が最初のころなので、今回の桃ちゃんは噛みます
最近は大人になってきたみたいだよ

>>ロニンデス
ほんわかわかわか
そんな気分になってくれたらこれ幸い
うん、気をつけます。だからまたみてねっ

>>東方&禁書厨
青についてはいまちょっと悩み中。
先に赤か桃辺りだとおもいますー
もkk。。。ほっこりしていってね

>>私怨
閣下はたぶんそんなはっちゃけたことしないww
僕のイメージでは褐は可愛いというよりは、なんというか健気で素直。
可愛いの路線なら、赤や金が僕好み
黒は献身的ですばらしいわん

>>ステイ
お加減はあまりよろしくないですあうあう
うん、あの桃の表現は僕も好きです、やったーつっこんでくれたーw
そういう細かいとこ突っ込まれるとうれしい僕でした
またみてね

>>noppo
わざわざ拙作のためにありがたいことです
続編出版はさだかではありませんが、これからも萌あるちめっと作品をよろしくです
がんばってつくっていきます!

二度目の投稿もありがとですっ
とどきましたか、よかったよかった
字が小さいのはもうしわけないです。
詰め込みに詰め込んだらあぁなりましたorz
いっぱい文章をとどけたかったのですです

と、ところで面白かったですか!?

>>み
茶なのか、茶なのか!
おもったけど、茶と褐って色に照るよね、まざりそうw
茶はおねーちゃんかな

>>竹
みつかったでしょうか
店頭販売はまだ僕も確認してませんが
あとでみにいきたいなーw
通販がかくじつだとおもいますよっ

>>hena
本の状態での店頭販売はもしかしたらないかもしれない
と思います
委託発注数がそれほど多くはないので、地方店だとむずかしそう
なので通販がベストだとおもいますっ

>>ななしの皆様方
呼んでくださった皆様、本当にありがとうございます
色々な感想に、僕は胸いっぱいです
嬉しさでとびあがっちゃう
そしてやる気をいただけます
自分のためにも皆様のためにも、なにより抱かぬしのキャラクターたちのために
これからも彼女らをかきつづけていきますね!


ではではっ

No title

新宿店で手に入れましたよー
後日見に行ったら残りの一冊もなくなっていました

No title

まとめブログで過去ログを見ていってたらこの作品みつけたんだけどヤバい面白い

No title

今更ですがVipから来ました。
書籍化しても買いまっせ!!!
頑張ってください。

No title

やっぱいいなーほのぼのしてて

どうでもいいが男ってお父さんみたいだよなぁ

承認待ちコメント

このコメントは管理者の承認待ちです
プロフィール

あるてぃめっと☆るいるい

Name:あるてぃめっと☆るいるい
***
物語とか絵とかゲームとか、
色々つくることが大好きです。
基本は文章書き。

2014年4月以降で現在お仕事募集中です。
お気軽にご相談ください。
安くて早くて安心ね! を目標に。
メールのレスポンスは超早いです。

連絡先は以下です。
bagarana☆yahoo.co.jp
(☆を@に)

Twitterはこちら→Ul_Rui_Rui
(たぶんコレが一番頻度高いです。
 細かい情報は全部ここで済ませてたりする)

ニコニコ生放送もやってます
コミュ→co15316

よかったらみてやってくださいまし

以下は僕のpixivですわー



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