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だから愛しています”ご主人様” 紫

こんばんわ、アルティメット☆ルイルイです

そろそろ夏も中盤。皆さんたのしんでいるでしょうか。

僕はやっと文章エンジンがかかってきたので、サクサクかいていこうとおもいます!

それではひさしぶりにどうぞ、今回はちょっと長めなのに、まったりです。
いつもの日常こそ抱かぬしノ真髄。

お楽しみくださいませ。




紫の一日



季節は夏。
気付けばこの国にきてから、半年もの時が立っていた。
銀「きゃー、熱いー!」
紫「うん、この国の夏は暑いね」
青「暑い。後、眩しい」
銀ちゃんと青ちゃんと私は、洗濯物を干すために中庭へとやってきた。
日差しは中庭を取り囲む壁に反射して、より鮮やかにきらめいている。
女「梅雨も明けたし、これからが夏本番ってとこよ!」
紫「わっ」
青「あう」
後ろから突然現れた女様は、私と青に腕を回して引き寄せると、私達の肩に顎を乗せて満足そうに笑った。
紫「うー、暑すぎて溶けそうですね。ご主人様なら特に」
いつもあの方は、外にでれば溶ける溶けると言ってらっしゃるし。
青「ご主人様、溶ける?」
女「あぁあいつならでろんでろんよ。毎年」
青「でろんでろん」
紫「毎年、ですか?」
女「そうよ、毎年。あいつ外に出ないから体力ないのよね。暑さですぐに倒れんのよ」
銀「ほうほう、介抱チャンスだったわけですね? 倒れたご主人様をむっふっふ」
女「ないない。あいつ寝たきりで起きないもん。つまんないよー」
銀「寝たきりなら何をしても抵抗しないんじゃないですかっ。逆に楽しいでしょう!」
女「む」
紫「えー! 女様何かしてたんですか!」
女「べ、べつに何もしてないもんねー。ほら、さっさと干しなさい!」
と言うと、女様は逃げるように私達に背を向けて屋敷へと消えた。
銀「ふむ、女様は絶対何かしておったな。どう思いますか紫殿?」
紫「何かしておりましたな~、あれはっ。青ちゃんもそう思いますよねっ」
青「こくこく」
私達は小走りに去った女様を見送り、くすくすと笑いあう。
女様のあんなところは、私も好き。
銀「そいでは今日もちゃっちゃか干しますかっ」
紫「いえっさーっ」
青「こく」
洗濯籠を持ち上げ、私達は中庭へと足を踏み入れた。


さすがに半年も経てばこの程度の作業は手馴れたもので、私達は三十分もしないうちにこの家の全員分を干し終えた。
銀「ミッションコプリート!」
そういって、銀ちゃんは空になった洗濯籠をわきに抱えて胸を張る。
紫「ばっちしだね!」
マネをするのはちょっと恥ずかしくて、私は後ろで腕を組みながらそう答えた。
銀「三人いるとシーツ有でも早いですねぇ、人海戦術は素晴らしきかな」
紫「そうだね。まぁ暑いから早く終わらせよー!って少し急いだからかも?」
銀「うむうむ。ささ、終わった事ですし、二人ともこちらへこちらへ」
青「?」
銀ちゃんはふっふーんと自慢げに中庭の隅へと私達を案内する。
紫「あ」
銀「どうであるかっ」
そこは丁度風の通り道だった。
銀の水路(銀ちゃん命名)を縁取る石畳に腰をかけると、素晴らしく気持ち良い。
青「涼しい」
紫「わー、ここすごいねっ」
銀「だろうだろう。ここは私のとっておきの一つであるのだー」
青「銀、中庭詳しい」
青の一言に、にひーと銀ちゃんは笑う。
銀「好きですからね! ここは私にとって非常にしっくりくるのです。広いですし、いくら探索してても飽きません」
紫「こうして中庭が綺麗になってるのも銀ちゃんのおかげだしね」
銀「いやー、お褒めに預かりまして光栄っ。てへへ」
初めてきたときに見た中庭も、それはそれで目を見張るものではあった。
なんて言うのかな、そこだけ時間の流れが違うようなものがあったのだ。
そう感じたのは、屋内に関しては管理されてたから人の手の入った形跡はあったものの、中庭に関してはほぼ手付かずの状態だったからだと思う。
廃墟にも近かった中庭は、しかし流れる水路――現・銀の水路が健全だったために古き遺跡の様な神秘的な体を成していたのだ。
しかしそこに銀ちゃんの手が加えられた途端、こうまで変わった。
私はちょっと、これをどう表現していいのかわからないけれど、本来の中庭にあった良い部分だけを残しながら人にとって居心地の良い場所へと変えた事が、すごいんだとおもう。
銀「しかし、それを言うのであれば紫ちゃんも聖堂を綺麗にしてくれてるじゃないですかー」
紫「はい、それはもちろんっ。マリア様に失礼だからねっ」
銀「ほうほう、信仰心深いのう。しかし何故にマリア様。キリストさんじゃないんかい?」
紫「うーんとねー、私別にキリスト教徒ってわけじゃないんだよ」
青「あがぺー嫌い?」
銀「ななな、惜しみない愛を嫌いと申すかっ」
紫「そういう意味じゃないってばーっ」
青「ふむ?」
紫「うー。私はマリア様が好きなだけなんだもん!」
銀「ふむふむ、信仰はそれぞれという事ですな」
紫「うん、難しく考えてないんだよ」
そもそも難しくなると、ちょっと分からなくなってしまうのだ。
なんだかこんがらがっちゃうんだよね。
銀「となると我々は」
青「男様教徒」
黒「うむ」
紫「わっ、黒ちゃん!?」
黒「いや何、呼ばれたかとおもってな」
音も無く現れた黒ちゃんは、くすくすと笑いながら腕を組んでいた。
銀「さすが黒ちゃん。神出鬼没っ」
黒「くく。通りすがっただけだ。しかしな、半分冗談だ」
赤「教徒になってしまっては、遠い存在になってしまいますからね」
青「赤も神出鬼没?」
赤「いえいえ、お昼の準備がととのいましたので、皆さんをお呼びしに」
紫「あれ、もうそんな時間? 早めに干し終わったから、まだ時間があると思ったんだけど」
黒「今日は男様が朝食に来る時間がそもそも遅かったからな。暑さを嫌だと言って、部屋からすぐにでなかったのだ」
そういえば、と私と銀ちゃんは目を合わせた。
確かに朝、男様はだるそうだった。
青「でろんでろん?」
赤「あはは、そうです、でろんでろんでしたね」
銀「無理も無いですかねー。これだけ暑ければ」
黒「うむ。しかしここは涼しいな」
銀「ふっふっふ、それはですね」
と、少しばかり皆で話してから、私達は食堂へと向かうのだった。


私達はいつも通り厨房から中へと入る。
ちらりと食器棚を見やると、食器の数が減っていた。
もう運び終わった後だろう。
昼食も配膳車に乗せられているし、後は配膳するだけかな。
黒「ふむ、準備万端か」
赤「はい。整えてから皆さんをお呼びに行きましたので」
がちゃっと、外へ繋がる扉が開いた。
褐「わ、もう皆揃ってたのか」
桃「遅れちゃったたー?」
銀「大丈夫ですよん。私達も今来た所ですからー」
茶「ふふ、それはよかった」
褐、桃、茶の三人は外へ行ってたのか、外履きを脱いで厨房へと入ってくる。
ふとそこで、赤ちゃん以外の食事番がいない事に気付く。
紫「あれ、金ちゃんと緑ちゃんは?」
褐「いないのか?」
赤「そういえば、見当たりませんね……」
茶「女様もおられませんねぇ」
幾人かが首をかしげる。
すると丁度食堂の方から、少し大きな女様の声が聞こえた。
女「はぁ……ったくあんたねぇ、そんなんじゃこの夏乗り越えられないわよ!」
あぁ食堂にいるのか、と皆は納得すると、くすっと笑って私達は食堂に繋がる扉を開いた。
銀「おうっ、これはこれは」
銀ちゃんが少しおじさんっぽい顔をして笑うのが見えた先、そこには件の子達がいた。
金「困りましたわ……」
緑「大丈夫?」
男「……」
男様がいつもの席で机に突っ伏し、斜め前の椅子に女様が足を組んで溜息をはきながら座っていた。
そして金ちゃんと緑ちゃんは羽のついたふわふわの扇子を持って、男様の隣で膝立ちのまま仰いでいる。
茶「あら、まぁまぁ」
茶が頬に手をあてて微笑む姿が、なんだか先ほどの銀の反応と似ているような気がしたけれど、良く分からない。
銀ちゃんはなにやら「確かあの服があったな……使うか……」とか真剣に呟いていた。
女「ほら、皆来たわよ。あんたいつまで突っ伏してるつもり?」
男「う……、いかんな」
もっそりと私達のご主人様は起き上がる。
紫「ご主人様、おでこが赤くなってますよ!」
男「何……」
さすさすとおでこを撫でるご主人様が、ちょっと可愛いな、なんておもってしまう。
金「大丈夫ですか、ご主人様? お体優れませんでしたら、ご自室に……」
不安そうに金がご主人様を見上げていた。
男「いやなに、優れないというか、暑いのが嫌いというか、だるいというか……。別に体調不良ではない」
女「ったくこの優男め。エアコンきいてるでしょうが」
男「そうなのか? こんなあついぞ」
褐「外と比べれば相当涼しいですよここっ」
男「むぅ……そうなのか。これだから夏は嫌いだ」
ガーンと、褐が顔を覆う。
褐「うぅ、夏はこんなにもワクワクするのに……」
茶「よしよし」
紫「女様も仰ってましたけど、暑さに弱いんですね」
男「そうだな。暑いと非常にやる気が出なくてな」
女「ダメ人間だ」
男「毎年言われるな……、いや、それは毎日だったか」
くすっと笑ってしまう。
確かに、今の男様は端から見ればダメ人間かもしれなかった。
緑「ご飯食べて、元気だそう。男の子なんだから、しゃきっと」
男「うむ、そうだな。少し貰おう」
との言葉を合図に、皆は一斉に配膳を完了させた。


昼食では終始女様がご主人様をからかって遊んでいた。
元気のないご主人様はやり返せないものだから、いいようにやられっぱなしで、ちょっと笑っちゃった。
初めはそんなご主人様を皆心配していたけれど、ご主人様のそれが熱中症の類ではなく、ただたんに暑さでだらけてるだけだと気付くと、すぐにいつもの昼食となった。
金ちゃんはさすがというか、最後まで気遣っていたけどね。
まぁでも、皆が気遣っていないってわけじゃないよ。
そういう空気だっただけ。
空気を読める私、ちょっと大人かも。
紫「くしし」
と、そんなことを考えてついつい笑ってしまう。
時は夕方。
私は軽く聖堂の手入れをしていた。
ご主人様は昼食後部屋に戻ると、すぐに寝てしまった。
暑い時間に起きてたくないだとか何とか。
紫「涼しいなぁ、ご主人様もここにくればいいのに」
聖堂は静かで、薄暗い。
日の光が入りずらいつくりになっているのか、電気をつけなければ夜でなくてもこうだ。
銀ちゃんの場所のように風があるわけでもないし、屋敷のようにエアコンがあるわけでもないけど、聖堂はとても涼しかった。
石造りだからだろう。
冬は寒すぎるのが難点だが、この景観を譲ってまで暖かくする必要はない。
幽「下が墓地だからというのもある。あそこは夏だろうが冬だろうが空気が冷たいからな」
紫「わっつ」
幽「ふむ、家事の様に私にもそろそろなれてくれぬか」
紫「ご、ごめんなさい幽霊さん」
いきなり体半分だけを床から出されたら、それは驚いてもしかたないよ! と思いつつ、私は謝る。
ってそういえばここの下、お墓なんだっけ……。うぅ。
幽霊はくっくと笑いながらすっと体を浮き上がらせると、実態があるかのように椅子へと腰掛けた。
紫「え、っと……。最近、あまり私達の前に出てこないですよね」
何を話そうかと考えて、私はふと思った事を口に出す。
私自身はお祈りの時間にこの幽霊さんとよく会うが、屋敷の中ではあまり姿を現さなくなっているような気がしたのだ。
幽「ん? まぁ、色々と考える事があってな」
紫「考え事ですか?」
幽「何、皆の楽しんでいる姿を見れているだけで満足だという事よ」
紫「なんだか茶みたいですねっ」
幽「うむ、あの娘もそのような事を言っておったな。似ているようで違うが」
幽霊さんは意味深なことをよく言う。
私はどういう意味かと首を傾げるが、やはりというか、分からない。
幽「ところで紫よ」
紫「はい?」
幽「この聖堂、よう綺麗に保ってくれてる。礼を言うぞ」
紫「好きでやってることですし、そんなお礼なんて」
幽「うむ、それで構わぬ。おかげで私の心は穏やかだからな」
紫「そうなんですか?」
幽「そもそも私は地縛霊だ。縛られているのは生前一番使用したこの聖堂。故にこの聖堂と私は一つでな、聖堂が綺麗であることはそのまま私に影響するわけよ」
紫「ほえー、なら逆に汚ければ心中穏やかではない、ってやつですか?」
と、ちょっと前にテレビで覚えた言葉を使ってみる。
幽「そういうことだ。なんだかギスギスしてしまってな、私でも悪霊になりかねん」
もし越してきてすぐに私に会ったのなら、この聖堂を掃除せずに会っていたなら、私はお前らを本当に殺していたかもしれない、と続けた。
そういえばあの時、私も怖かったのを覚えている。
幽「あぁその話の延長だが、洋館にはまだ入っていないだろ」
紫「え? は、はい」
何の話だろう。
幽「うむ。聖堂に私が憑いたように、あっちにも多分アイツが憑いてるんだろう。ほぼ確実に」
紫「あいつ……ですか」
幽霊さんがアイツと言うの含みを込めて言うのであれば、指される人物は一人。
幽「だから洋館には入れないだろうよ。鍵を持ってても、な」
紫「あれ? 別に入れないわけじゃなかったと思います。ただ試してないだけで」
最初の頃に、男様が後で入ろうと言ってはいたのが確か最後だ。
男様が入ろうとしなければ、私達が勝手に入る事は無い。
幽「くく、そういうことよ」
含み笑いをする幽霊さんに、私は困惑してしまう。
正直、幽霊さんの言動は毎度よく分からないのだ。
幽「それはさておき、礼ついでに紫に一つ教えてやろう。お前らの主人が寝てるのは知ってるな?」
紫「え、はい」
幽「やつが起きるのは概ね九時過ぎだが、不精故に部屋から出ようとはしまい。だが……」
宙に跳び、くるりと幽霊は私に背を向ける。
幽「涼しい所があるのならば、付き合ってくれるかもな」
くくっと笑いを残すと、幽霊はスーッとその姿を消した。
紫「どういうことだろう……、……あっ」
なんともそれは分かりやすい事だった。
この時間に寝ているなら、夜は遅くまで起きていても問題ない。
なら、お祈りの時間に誘えるかもしれない!
紫「あは、ありがとうございますっ」


夜、食事の時間を遅めにしたのは金ちゃんの配慮からだった。
ご主人様が起きる時間に合わせて夕食を、というわけだ。
私は聖堂で一通り時間を過ごした後、こうして共用の部屋でくつろいでいる。
夜まで特にやる事も無く、さっきは一眠りまでしてしまった。
褐「うー、ご飯ー」
同じく部屋で休憩していた褐ちゃんが、そう言った。
赤「そんなにお腹がすいてるの? もう、何か軽いものでもつくる?」
めがねをかけて編み物に奮闘する赤ちゃんが、その手を休めた。
褐「ほんと!?」
赤「うん、大丈夫だよ。紫ちゃんも食べる?」
紫「うーん、食べたい、かも。だけどご主人様も待ちたい……うーうー」
黒「はっは、そうだな、難しい所だな」
ぽんと、頭に黒ちゃんの手が置かれる。
うー、子ども扱いしてもうっ。
黒「だがもう少しで起きそうだった。待ったほうが良いかもしれん」
褐「むううう、じゃぁ僕起こしてくるよ!」
黒「くっく、それでもいいかもな」
赤「えええ、寝ているのですからそっとしといてあげた方が……」
褐「もう少しで起きるんなら今起きてもそんなに変わらないよ!」
ばっと、褐が部屋から出て行くのを私は見て、一緒に行きたいなと思ってしまう。
でも起こすのは赤の言うとおり気が引けるし……うーん。
紫「私も行く!」
やっぱりちょっとくらいなら変わらないよね!
赤「あ、もう……」
と、赤の嘆息する声を後ろ手に、私は褐を追いかけた。


褐「お、紫も来たのかっ」
紫「うんっ。早くご主人様におきてもらわなきゃっ」
褐「夕飯にありつけないもんな!」
ご主人様の部屋の前まで駆け足で向かうと、その扉は開いていた。
紫「あれ。だれかいるのかな? ご主人様、紫と褐ちゃんがきましたよー」
一応扉にノックをして、部屋に入る。
すると銀ちゃんが、いつもとは違う服で私達を迎えた。
銀「ようこそ酒池にくり……ぶほっ」
銀ちゃんが言いかけた言葉を、金ちゃんがさえぎる。
金「こ、こら、なにいってるのですか! そういうのではないですわ! も、もちろん私はそうなっても一向に構いませんけど」
女「銀が言ってるのもあながち間違いじゃないけどねぇ」
男「あほか……」
お昼よりは元気そうだったが、その姿は食堂で見たものと同じで、男様は机にて突っ伏していた。
それを取り囲むようにある姿が異様。
なんだか、恥ずかしくなるような……。
褐「そ、その服なんだ!? ハレンチな……」
羽のついた派手めな扇子は昼と同じ。
だがメイド服は着ていなかった。
高襟のある鮮やかな袖なしワンピース。
胸元は華美なボタンで留められ、椿の細かい刺繍が下部に施されている。
何より目を引くのは足首から足の付け根までざっくりと入ったスリット。
布はたっぷりとあるはずなのに、スリットのせいで太ももは相当に露出していた。
ちょっと間違えばどうなる事か、女の子としてもドキドキしてしまうその服装はどうみても――
紫「チャイナ……ドレス?」
銀「いえっす正解です! どうです、似合ってます?」
白銀の髪の毛と同じ色合いのそれは、似合ってないとはどうにも言えなかった。
金ちゃんはといえばそれと対照的な黒の布で、メリハリのついたそれは目を奪う。
女様は男様の対面にて肘をつきながらも、やはりその服を着けていた。
褐「似合ってるけど……そのスリットやばくない?」
銀「ちょっとやばいくらいが丁度良い! チラリズムの限界はここにある!」
見せ付けるように銀ちゃんは、足を組み替えた。
うわぁ、うわぁ、すごい。
紫「私もそれ着たいー!」
恥ずかしくはあるけども、それを超える魅力がチャイナドレスにはあった。
金「一応全員分ありますけど……」
男「いやいい、やめといてくれ。俺は今猛烈に色々と我慢している」
紫「? 暑いのを我慢してるんですか?」
男「確かにそれもあるけど、それ以外がもっとでかい」
女「煩悩よねぇ」
男「うるさい」
紫「煩悩ですか? か、かまいませんよ!」
ふふ、その手に関しては皆に負けず劣らず知識をもってるよ私もっ。
嫌な思い出ではあるけど、結果として私が覚えた事だけならここで大活躍できるもんね!
男「かまわなくないっつの。あぁほら、お腹すいてるだろ? 夕飯だ夕飯」
がたっと、踏ん切りがついたように男様は立ち上がった。
金「ご主人様、もうよろしいのですか?」
男「あぁ、ありがとう。というかだな、これ以上ここにいたら俺はダメになる」
女「もうダメすぎるじゃんか」
男「もっとダメになるかもしれないだろ」
女「うわーこわーい」
銀「やーん」
女様と銀ちゃんは、わざとらしく体をクネクネとよじらせる。
男「……。ったく、行くぞ!」
男様はスタスタと入り口まで来ると……
紫「わわっ」
褐「あう」
私達の手をとった。
男「助かったぞ」
紫「あ、はいっ」


一方男達が去った男の部屋では。
金「あう、あまりお喜びになられませんでしたでしょうか……」
女「めーっちゃくちゃ喜んでたわよあいつ。ちらっちらっ見てたもん」
金「ほっ」
銀「しかしこの状況でも手出ししないですねぇ、あの方は。三人一気にとかあってもいいのに!」
女「ヘタレだから無理ね」
銀「うーむ、やはりもう少しハードなものがいいのですかね」
金「こ、これよりハードってなんですの!?」
女「水着? 夏だし」
キラリンと銀の目が光る。
銀「ほう、悪くないですなお代官様。さっそく用意させましょう」
女「くっくっく、おぬしも悪よのう越後屋」
銀「お代官様程では、くっくっく」
金「だめですそんなの! ご主人様が本当に倒れかねませんわっ」
銀「えーえー」
金「再来週くらいまでは……すくなくとも。そのあと、なら……。」
女「それで折れるか」
なにやら怪しい話がされていた。


遅い夜ご飯が終わり、ちらりと窓に目をやれば夜の帳が屋敷を覆っていた。
すでに十時半を回っている。
とっくにお夕飯の片付けも終わって、各々の夜をすごしているだろう。
紫「ふふっ」
わくわくとしてしまう気持を抑えられない私は、がさごそと倉庫をあさっていた。
紫「よいしょっと」
燭台と蝋燭。
準備は万端だった。
後はご主人様を誘うだけ。
紫「でも……」
ふと、両手にもったその道具を見て思う。
果たして誘った所で、ご主人様はきてくれるだろうか。
紫「むぅ」
毎度誘えないのは仕方のないことだった。
私以外の人が夜係の時はそもそも誘えないし、私が夜係になっても夜中に聖堂までご主人様を連れて行こうとは思えなかった。
多くの場合、私が入室する頃はパソコンを触っているし、お茶を用意して待っていればそのままくつろいでしまう。
あのカタカタという音を聞きながらその後ろ姿を見ているのは心地よくて、気付けば私は寝てしまうのだ。
寝ずに待っていても、ご主人様とお茶をするのは楽しいし、喋っていればすぐに真夜中。
お祈りの時間は寝る前ギリギリの時間であって、私は元々夜更かしの得意な人間じゃないから、そうなれば結局ご主人様と寝てしまう。
というか!
ご主人様と一緒に寝る事のなんと素晴らしい事か。
頭なでられたらもう逃げられないっ。
紫「うぅ」
結局そんなわけで、毎度ご主人様をお祈りに誘う事は無かった。
だからだろう、いつも一人(たまに幽霊さんも)でやっているお祈りに、ご主人様を誘うというのは、違和感があったのだ。
私は少し躊躇してしまう。
紫「一回、聖堂に行こっと」
あそこで深呼吸してからなら、きっと誘える。
紫「よし」


ぎぃっと音を立てて、木造の扉を開く。
屋敷と聖堂をつなぐ扉だ。
薄暗くはあるが、この時間月明かりが良く入るから、電気をつける必要はない。
それよりも、この空気が好きだった。
静かで暗くて少し肌寒くて……、とっても落ち着ける。
紫「マッチっと……ん?」
道具を椅子において、マッチに火をつけようとしたとき、違和感に気付く。
誰かがいるような気配……幽霊さんかなとおもって中空を見上げるが何もいない。
紫「うん……?」
ギシッと小さく椅子が軋む音が聞こえた。
二つ向こうの椅子に、誰かがいるようだ。
しかし暗くて見えない。
普通にすわっているなら簡単に見つかるはずだから……えーと、だとしたらかくれている?
紫「だ、誰ですか……?」
恐る恐るそう声をかけるが、返答は無い。
一体誰が……。
混乱して足が竦む。
この聖堂に、誰がいるのか。
屋敷の誰一人として、ここでかくれている可能性が思い当たらない。
驚かそうとしているのなら、桃ちゃんか銀ちゃん辺りだろうが、彼女達はさっき共用の部屋で見かけているから在り得ない。
そこまで考えれば、自ずと恐怖がわきあがる。
ど、どうしよう。
そのとき、首の後ろに寒気が走った。
紫「ひっ」
思わず声を上げてしまう。
風……?
幽「どうした、今度は驚かすつもりじゃなかったんだが……。何を緊張しておる?」
紫「ゆ、幽霊さん……」
正体は幽霊さんだった。
幽「なんじゃいそのだらしない顔は。ん? 誰かおるのか」
ふわっと浮き上がり、例の椅子の上からそこを見る。
幽「ほう」
といって私を見ると。
幽「く、くっくっく、そういうことかそういうことか」
と、押し殺した声で笑い出した。
また、何がなんだかわからない。
紫「あ、あう……、なんでわらうんですか」
幽「くっく、ほれ、見てみろ。怖くないぞ」
紫「こ、怖がってませんから!」
見破られていたらしいが、私はそれがしゃくで否定する。
つかつかと歩いて覗き込むと――
紫「あ……」
男「すかー」
私のご主人様がだらしない格好で寝転がっていた。
幽「くっく、誰がいるのか分からなくて怖かったんだろう、ん?」
なるほど……。
幽霊さんはそれに気付いて笑ったのか。
紫「別に怖がってません。私もう子供じゃないんで」
幽「それはそれは、くっくっく」
紫「なんですかもうっ」
幽「くく、悪いな。……くくく、可愛い娘じゃ、憂いのう」
紫「もう!」
私はブンッと腕を振るが、幽霊さんは軽くそれをかわした。
幽「はっは。まぁ良いではないか、誘わなくてすんだということだ」
紫「む」
確かにその通り。
ここにご主人様がいるのなら、誘う必要などない。
幽「ならば私は必要ない。またな」
そうしてまた、幽霊さんは虚空へと消える。
紫「子供じゃないのにっ」
私は誰も見てないことを確認してから、べーっと舌をだした。
人をからかわないの! もう!
ふんっ、と私は鼻を鳴らす。
紫「ん?」
そこで一瞬立ち止まる。
幽霊さんの言葉が、引っ掛かった。
紫「あ……」
ならば必要ない……。
そう言っていた。
ということは。
幽霊さんは、私の背中を押しに着てくれたんだ。
紫「むぅ」
複雑な心境だった。
からかわれたものの、しかし彼女は私に助け舟を出そうとしてくれていたのだから。
紫「ふぅ」
なら、チャラにしよう。
腹を立てても仕方ない。
そんなことよりお祈り……じゃなくてご主人様なんでいるの!?
もう一度私はご主人様をみて驚く。
何やってんだか。
紫「ご、ご主人様?」
彼は気持よさそうに寝ていた。
紫「なんでここにいるんだろう……」
一番有り得なさそうな人なのに……。
男「む……」
ぐっとご主人様が体をよじる。
男「お……?」
しかし椅子は狭かった。
大の男が一人寝返れば、すぐにでも落ちてしまう。
って、やば!
紫「わわわ」
落ちそうになったご主人様を、私は慌てて支える。
紫「ご、ご主人様! 起きてください!」
うぐぐぐぐ。
ほうっ。
なんとか私はご主人様を椅子へと戻す。
男「お、お……?」
ご主人様の目が開く。
だが寝ぼけているようで、よく状況を理解していないようだ。
男「あれ、紫?」
紫「そうです紫ですご主人様。一体何をしてらっしゃるのですかっ」
男「え、えーと。うーんと。ちとまってくれ、頭が回らん」
紫「もう」
ご主人様が体を起こすと、私はその隣へと座る。
男「うーん、ここかったいなぁ」
紫「椅子ですからね……」
いててとご主人様は首を回す。
どうやら少し寝違えているようだ。
紫「痛いのどこですか?」
男「うんっと、このへん、首のとこ」
紫「しかたないですね……」
とりあえず痛いのであればもんであげるべきだろう。
私はご主人様が指した箇所を軽く擦るようにもんでいく。
男「おぉ、気持ち良い」
紫「そ、そうですか? ふふふ、マッサージちょっと練習しました!」
男「うむうむ、助かる」
紫「ふっふ……。あ、ところでなんでここにおられたんですか?」
もみもみ。
男「……俺の部屋な……今入れないんだよ……」
紫「え?」
もみもみ
男「待ち構えてるんだよ。あいつら。あの服で」
紫「あぁ……チャイナドレスですか」
男「多分な。怪しげな声が聞こえてきたからすぐ回れ右したもんで、何着てたか正確にはわからんけど」
紫「あはは、過激な服ですもんね。……でも、ご主人様ちょっと嬉しそうじゃなかったですか?」
もみもみ
男「い、いやべつに嬉しくなんか無いぞ。むしろ困る。どうすりゃいいのかわからん」
紫「まぁ、確かにご主人様みたいな人だとそうかもですね」
もみもみ
男「うむ。あぁ、そこきもちいい」
紫「ここですかっ」
男「そ、そこだ。う、ぐぐぐ、き、もちいな、これ」
紫「ふふふ」
もみもみもみもみ
しばらくそうしてご主人様のちょっと変な、でも喜んでいる声を聞きながら、私は首や肩を揉み続けた。
男「ふぅ、ありがと、ごめんな、疲れたろ」
紫「もういいんですか? 疲れてませんよっ」
男「いやいや」
ご主人様はまだ肩においてあった私の手を、自らとってはなす。
男「ありがとな、おかげでいいかんじだ」
紫「そうですか、ふふふ」
男「しっかしここ涼しいな。部屋から逃げて行き先無かったから聖堂にきてみたけど、思ったより涼しくて驚いた。まぁ、その結果ねてしまったのだが」
紫「なるほど……少し寝すぎじゃないですか?」
男「体力ないからな。昼間は起きてるだけで体力無くなる。たくさん寝ないと割にあわないんだよ」
紫「不健康ですよ!」
男「今更だな」
といって、ご主人様は頭をかく。
私がもう少し文句を言おうとすると、ご主人様は私をぐいっと持ち上げた。
紫「わわわ!?」
そうして自分の膝の上へと私をおく。
あう……。
男「ま、そういうな。すぐには無理だすぐには」
といって頭を撫でてくれた。
紫「ず、ずるいですよ……」
といいつつ、私は自覚するほどに表情がへにゃっと崩れる。
男「妹みたいでな、ついつい」
紫「妹じゃないです、紫です。メイドです!」
男「ははは」
むううううう。
男「で、紫はお祈りの時間だったか?」
紫「はい。お祈りしようとしたら、ご主人様がおられました」
男「そりゃ迷惑かけた」
紫「いえ、全然迷惑なんてないですよ!」
男「そうか? まぁ、そういうならいいんだが……」
紫「ですです」
男「なら今からやるか? つきあうぞ」
紫「はうっ、ほ、ほんとですか!?」
男「やり方わからんから、教えてくれ」
紫「え、えーとっ」
私はご主人様の膝の上で、そのやり方をジェスチャーする。
これは私の考えた独自のものだった。
私がマリア様に捧げるお祈り。
形式とか知れるほどの環境に無かったから、私が自分で編み出した。
だからそれは見る人が見ればぎこちなく、また不恰好で、もしかしたら無礼にすら見えるかもしれない。
男「ふむ、なるほど。簡単だな」
紫「はいっ」
男「このままやるか。リードしてくれ」
紫「は、はいっ」
そして膝に座ったまま、私はお祈りをする。
なんとも気の抜ける光景だと思う。
だけど、私は嬉しかったし、ドキドキした。
誰が見て誰がなんと思おうと、自分が良いと思えばそれで良いのだ。
男「マリア様とやらには届いたかね、お祈り」
紫「はい、きっと」


私の記憶があったのはそこまでだった。
頭を撫でられていたのは覚えているが、そのまま一体どうなったのか分からない。
気付けばご主人様のベッドで、翌日の朝食の時間を迎えたのだから。
昨日一日は普段どおりの一日。
だけど夜、少しだけ私はご主人様と一緒の時間を過ごせた。
楽しいのとはちょっと違う。
ワクワクするのともちょっと違う。
嬉しいっていうか……えーと、しあわせ? かな?
とにかくそんな気分だった。
だからこそ寝てしまった事を私は悔やむ。
あのなんともいえない気分を、もう少し味わっていたかったなと。


ご主人様はいつでも私を落ち着かせない。
彼のことを考えていれば面白くて、でもなんだか不思議な気持になる。
それがなんとも言いがたいのだけど、それが心を躍らせる。
正直言葉でしか知らないけれど、コレはきっと。


とにかく妹よりさらに上を目指そう。
ご主人様に対してこの気持ちを持ち続ければ、はぐくんでいけば、それはきっと叶うはず。

だから
だから愛しています"ご主人様"


紫fin





















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紫かわいいよ紫。そしてどんな状況でも陛下は「抱かぬし」ですねw
そういえば、メイド'Sに手を出したら幽霊に殺されちゃうんですよね?……陛下は進むも地獄進まぬも地獄ですねw

No title

まさかの次回水着回

ついに3エロトリオの設立か……閣下の煩悩が限界値突破しちゃう!



また北国から会うために出られなかったからここで叫ぼう



萌アルティメットォォォォォォォォ!!

No title

相変わらずすばらしいですね

返事

>>水無月
紫かわいいっすよねー。まぁ銀おしおしなわけだが。
えぇもtろん陛下は「抱かぬし」ですw
設定上は殺されちゃいますけど、和姦なら多分許してくれると思いますよー
そもそも強姦だったからああいう事件になったわけですしっ

>>私怨
北国wwwとおいwww
ちょっとがんばってもこれなさそうだけど
応援たすかります
萌あるちめっとおおおおおおお

>>な無しのかたが
次次くらいじゃないかなたぶん!

素晴らしいだなんてそんなwww

がんばりますっ

No title

紫可愛いよー。
僕の貧相な語彙では「凄い」って表現しかできないのが悔やまれます・・・。

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プロフィール

あるてぃめっと☆るいるい

Name:あるてぃめっと☆るいるい
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物語とか絵とかゲームとか、
色々つくることが大好きです。
基本は文章書き。

2014年4月以降で現在お仕事募集中です。
お気軽にご相談ください。
安くて早くて安心ね! を目標に。
メールのレスポンスは超早いです。

連絡先は以下です。
bagarana☆yahoo.co.jp
(☆を@に)

Twitterはこちら→Ul_Rui_Rui
(たぶんコレが一番頻度高いです。
 細かい情報は全部ここで済ませてたりする)

ニコニコ生放送もやってます
コミュ→co15316

よかったらみてやってくださいまし

以下は僕のpixivですわー



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